『あの日のオルガン』 子どもの命と平和問う
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 前回は映画『カランコエの花』について書かせていただきましたが、今回は私が製作に携わった一つの作品についてみなさんに知っていただきたく書くことにしました。映画の内容については、今回で収まらないので次回以降に書かせていただきます。

 昨年6月25日にある一本の映画が誕生しました。

 タイトルは『あの日のオルガン~疎開保育園物語~』。

 企画から36年という途方もない長い年月をかけてやっと昨年本格的な製作が動きだしたのがこの映画です。今の時代だからこそ〈子どもの命と平和〉を伝えていくために、『母べえ』『母と暮らせば』などで日本アカデミー賞常連の脚本家・平松恵美子さんがメガホンをとって完成しました。

 この物語は、あの誰もが困難だった戦火の時代に、子どもたちの命を守るために必死に闘った若き保育士たちの感動の史実です。

 子どもたちへの虐待やいじめが日常のように流れる現代で、本作を見て子どもたちの命と平和についてもう一度考えてほしい―。そう願うばかりです。

 6月25日は『あの日のオルガン』の完成披露試写会の日でした。東京五反田にある現像所「イマジカ」の試写室で誕生を迎えたのです。

 この試写会は「初号試写」と呼ばれるもので、本来はスタッフの最終チェックの試写でしたが、製作にご協力いただいた多くの方々が全国各地から足を運んでくださり満員になりました。

 場内が暗転して始まった映画のトップシーンは保育所の保育士たちが子どもを連れて避難した防空壕(ごう)で演じられる影絵のシーン…。

 冒頭から戦火の近さを語りながら、保育所は疎開へ…、そして3月10日の東京大空襲。ドラマもこのあたりまで進んでくると、しきりに涙をぬぐう方々の姿が目立ち、映画は感動のラストシーンへ…。

 映画が終わると、満場の拍手がわき、ロビーでは目を真っ赤にした方々が、興奮した面持ちで感動を語り合っていました。

 現代社会の子どもたちを覆う暗いニュースの数々に目をやった時、そのあまりの惨状に胸を痛めるのは私だけではないと思います。

 虐待により、この世にたった数年、数カ月しか生きることのできなかった子どもたちの思い、世には公然とうそと人を罵倒する言葉が行き交い、拝金主義がすばらしい価値観として語られる―。そんな時代に、この映画は〈子どもの命と平和〉を願って今かけがえのない大きな役割を果たすかもしれません。

 前橋シネマハウスでも上映を予定し、皆さんの心を豊かにしていきたいと常に思っています。本作の上映をお楽しみに。



前橋シネマハウス支配人 日沼大樹 前橋市石倉町

 【略歴】5年ほど前に祖父が立ち上げた映画製作、配給会社「群馬共同映画社」に入社。2018年3月の劇場オープンに合わせて現職。前橋市出身。関東学院大卒。

2019/04/07掲載

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