音楽との出合い 未知のジャンル聴こう
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 さまざまな音楽ジャンルがある。ジャズ、クラシック、ロック、演歌、歌謡曲、洋楽、邦楽、民謡などなど。どんな音楽にも固有の文化的な背景がある。ジャズは1900年頃ニューオーリンズで黒人の手によって生まれ、その後20世紀アメリカを代表する音楽となった。自由、個人の自己主張とリズムを通じての集団の調和などアメリカらしさを体現する音楽だ。クラシックにはヨーロッパ精神の精華がある。ロックには大戦後の若者のエネルギーの爆発があり、演歌には日本人の叙情性と20世紀のポピュラー音楽の語法の融合がある。

 今はインターネットの発達のおかげもあり、世界中のさまざまなジャンルの音楽にアクセスしやすい環境が整っている。しかし、多くの人は、自分の好きなジャンル以外の音楽を聴くことは少ないのではないだろうか。

 そういう自分もかつては音楽的に極度の偏食家だった。高校生まではクラシックしか聴かなかった。それ以外の音楽にほとんど興味がなく、当時の流行曲にも心を閉ざしていた。本当に生意気で孤独な少年だったと思う。

 大学生になりジャズに出合ったことで新しい世界が開けた。クラシック以外は聴くに値しないという価値観が、単なる無知の産物だということが分かったのである。クラシックもジャズも共に素晴らしいということが分かり、少しだけ大人になった。

 大学を卒業して少しだけサラリーマン生活を送った後、オールディーズのバンドに入りライブハウス専属の鍵盤奏者になった。毎日毎日、ロックンロールやディスコ・チューンを演奏した。全ての曲が好きだったわけではないが、かつてヒットしたポップス、大衆に愛される曲には「何か」があることが分かった。その後多くの歌手の伴奏ピアニストを務めた。ジャズをメインにシャンソンやクラシックの伴奏もした。

 つのだ☆ひろさんと豪華客船で演奏した時は、古い日本の歌謡曲をたくさん演奏した。お客さまが感謝感激していた様子が心に残っている。若い頃の自分だったら、こういった音楽の魅力は分からなかったと思う。

 母校渋川高校の先輩の作詞家、真下純さんと知り合い真下さんの詩に作曲したCDを制作する機会をいただいた時、なるべくたくさんのジャンルに対するオマージュのような作品にしたいと思った。ジャズ、クラシック、歌謡曲、ブルースなどの要素を詰め込み「私とあなたの物語」というCDが出来上がった。さまざまなジャンルを知り、それぞれの良さを知り得た幸運に対する感謝の念が結実したと思う。

 皆さんも、時々は自分にとって未知のジャンルを聴いてみよう。人との出会いにも似て、自分の人生をより豊かにする方法の一つだと思う。



ジャズピアニスト 保坂修平 東京都足立区

 【略歴】渋川市観光大使。「俺のフレンチ」などを展開する「俺の株式会社」音楽部門首席ピアニスト。「タペストリーズ」などのCDを発表。渋川高―東京芸術大卒。

2019/04/09掲載

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