ジョブラボぐんま 一人の志を皆の価値に 
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 私は30代で結婚・妊娠・出産を経験し、同時にダウン症児の母親になりました。産休は1年と考えていましたが、そうはいかず、仕事復帰の方法について2年ほど先輩と相談。当時の私は、子どもと家庭中心の生活へシフトし、さらには、ダウン症の子どもを通して見る社会に、とてもいら立っていました。

 その原因は、スペシャルニーズがある家族に対して、自立を促す場所や仕組みの選択肢が、圧倒的に少ないということ。「福祉の枠を出ない限り、ダウン症を取り巻く環境は変わらない」という先輩ママの言葉をきっかけに、私の中に“ある思い”がわき上がりました。「ないなら自分で興そう」。それが、群馬イノベーションスクールに入ったきっかけでした。

 約1年間、いろいろと学んだものの、すぐに事を興せるわけではありませんでした。ダウン症について何にも知らない自分にがくぜんとしたように、ビジネスの世界も未知なことばかり。ゼロから始めるにはリスクが高すぎて、とても現実的ではありませんでした。一歩踏み出さないと社会は変えられないけど、踏み出したからには歩みを続けていきたい…。

 ダウン症のこともビジネスのことも、見えてきて分かったつもりになっていました。しかし、知らないことを知らなかったことに気づきました。固定概念の中でしか考えられていなかった。そんな時でした。以前は、正直、うるさいなあ、とマイナスに思っていた職場の先輩の言葉が急に「アドバイス」として響いてきました。「もしかして、これはこういう意味だったのかな」とか「あの言葉はこういうことか」など。仕事も家庭も、多くの支えがあったことに改めて気づいたのです。

 そこで、私が支えられてきたように、皆で皆を支える仕組みがあれば、もっとチャレンジできるんじゃないか、と思うようになりました。大きな花火は注目を集めるには十分ですが、それだけでは何も変えられません。常に導いてくれるメンターのような存在が大切であり、必要なリソースがつながっている仕組みがあれば、個人でのリスクも下げることができるはずです。

 チャレンジをすれば失敗も生まれます。失敗を恐れてチャレンジしない社会ではなく、いろいろな方の協力の中で、失敗を恐れずにチャレンジできる社会を目指すことで、私自身がチャレンジしていけます。花火を上げて盛り上げる役割は必要ですが、リスクを減らしてチャレンジを支える役割があってもいいのではないでしょうか。

 積極的に一歩引いて、皆がやりたいことを「盛り支える」ことで、私たちにしかできないサポートの方法があるんじゃないかと思いました。その思いをジョブラボぐんまの理念「ひとりの志をみんなの価値に。」として掲げました。



一般社団法人「ジョブラボぐんま」代表理事・FM桐生アナウンサー 宮坂あつこ みどり市笠懸町阿左

 【略歴】ケーブルテレビリポーターを経て、2007年FM桐生入社。起業支援で地域活性化をしようと、17年にジョブラボぐんま設立。ダウン症児の母。東洋大卒。

2019/04/11掲載

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