生きる力を育てる 多様な教育方法を駆使
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 学校において学習は多くの場合一人一人の活動になっています。その成果は個人の能力として評価されます。基本的にはペーパーテストの得点が成績に大きく影響を与え、得点が高ければ成果があったことになります。知識をたくさん頭の中に持っていて、決められた時間内に効率よく知識を見える形(アウトプット)にすることができれば良い評価を得ることができ「有能だ」といわれます。

 学校では学習成果はあくまでも個人のものです。知識は専有物、所有物、もっと極端な言い方をすれば商品という見方もできます。知識を獲得することはそれらを個人的にたくさん持てるようになることです。入試や定期試験で1点でも多く点を取りたいという気持ちは少しでも専有物や商品を増やしたいという心理も表しているかも知れません。

 一方、日常生活や社会生活ではどうでしょうか。たとえば、仕事をするときは複数で行い、個人のみで最後まで行うことはほとんどありません。通常は、チームを作ってできない部分を補いあったり、得意な部分を生かしあったりします。ときには他人や先達の知恵を借りて仕事の成果をあげています。

 ですから、学校と違って、日常生活や社会生活では、私たちは、個人的に知識をたくさん持っているからといって「有能」と評価されるわけではありません。

 私たちは、さまざまな人々とコミュニティーを作り、コミュニケーションを図っています。そこでの学びは、決して、個人の中だけに閉じているものではなく、分からないときは、知っている人から教えてもらいます。ときには有能で熟達した人から、手助けを得て、知恵をもらいつつ、日々発生する問題や課題を解決していきます。

 新しい学習指導要領では、予測困難な社会の変化に子どもが主体的に関わりながら、どう社会を生き抜き新しい未来を創っていくか、そのための能力をどのように育てていくかが求められています。

 その際には、いろいろな教育の方法を実践することが大切になります。教師が今ある知識を一方向型の講義で学習者に機械的に伝達・注入していくやり方だけというわけにはいきません。

 ①学習者が能動的になることにより、教師が伝えた知識、友達や文献から得た情報などを既に自分が持っている知識と結びつけながら知識をより深く学び、定着させていくやり方②学習者が能動的にコミュニティーに参加し、積極的に働きかけながら対話やグループワークなどを行うことで、知識に気付いたり、作り上げたりしていくようなやり方―などが求められます。

 さまざまな方法を駆使することで近未来の予測困難な社会において対応できる知識やスキルを子どもたちが身につけるだろうと考えています。



明和学園短大教授 田口哲男 高崎市羅漢町

 【略歴】県内公立高で37年、理科教育や学校運営に携わり、2018年4月から現職。日本バレーボール協会公認講師。近著「高校生に確かな学力をつける」。同志社大卒。

2019/04/19掲載

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