自然体のおもてなしを
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 「お・も・て・な・し」という言葉が、東京オリンピック誘致の際に大変話題になりました。今回は群馬を訪れた訪日客がどのように過ごし、私たちと交流しているかについて述べたいと思います。
 私が運営するゲストハウスには世界21カ国からゲストが訪れています。訪日客の主な目的は観光ですが、それ以外にもさまざまな目的を持って来日しています。日本の日常生活を体験しながら長期滞在するニーズも高まっています。例えば台湾の母子が幼児教育体験をしています。また合気道、空手、新体操等の国際大会、国際会議、大学生の国際交流等のために多数の人が来日しています。
 群馬県人が国際的なのには驚かされます。国際結婚した人や仕事で海外赴任した人が日本に里帰りをしたり、海外から来た英語助手の元へその両親が訪れたりと、国際交流が盛んに行われています。グローバル化の波は民間レベルでも着実に広がっています。
 ゲストハウスには暮らすように滞在ができる特色があります。あるゲストは、「この家はまるで『ドラえもんハウス』『ちびまるこちゃんの家』みたい」と大喜びしていました。日本のアニメ文化はこんなにも浸透しているのかと驚きました。
 畳とこたつのある茶の間は人気が高く、ほんのり温かく過ごし、日本人の実際の暮らしぶりを体験できることを楽しんでいます。
 ホスト側も海外のお土産をいただいたり、感謝の置き手紙を残してくれたりするなどといった温かいコミュニケーションが、満足そうなゲストとの間で生まれることの喜びを味わっています。お互いの信頼関係が図れたと感じた時はホスト冥利(みょうり)に尽きます。
 ゲストとホストとの共通語は英語です。宿泊予約時にはメールで細かい情報を尋ねてきます。例えば「お薦めの観光地はどこですか」「ごみはどうすればいいですか」等々。返答メールも当然、英語でします。特に現地対応や電話のやりとりは大変です。何十年も前に学んだ英語を思い出しながらの作業ですから、頭はフル回転です。
 宿泊後の宿の評価はレビュー☆印で表されます。項目別に清潔さ、コスパ、正確さ、チェックイン、コミュニケーション、立地があります。その中でもコミュニケーションが特に大切で、相手を思いやる気持ちを持つように心がけています。
 一般的に日本人は人に対して、丁寧に接する親切な民族ですが、本当の意味でのおもてなし(ホスピタリティ)とは、その人が必要と思い、助けてほしい時に手を差し伸べることだと考えます。あまりにも丁寧すぎるおじぎや過剰なサービスは、相手に不愉快な気持ちにさせてしまいます。自然体で接し、こころから訪日への歓迎、感謝を表すことが何よりも大切なのではないでしょうか。



元群馬高専講師・ゲストハウス運営 生方健司 高崎市東町

 【略歴】ゲストハウス運営の傍ら、NSM資格審査委員、ウイングユー社長を務める。技術士。元東京都職員、群馬県職員、群馬高専講師。群馬高専―慶応大法学部卒。

2019/05/08掲載

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