ただかわいいだけでは 避けたい多頭飼育崩壊
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 今あなたは、何匹の犬や猫と暮らしていますか。彼らもあなた自身も幸せですか。

 お正月早々、ボランティア仲間から電話です。「相談があります。実は100匹の多頭飼育です。どこまで不妊が進んでいるか、まだわかりません」と。耳を疑うとはまさにこのこと、100匹が家の中で飼われている? うそだろう? 不妊手術した100匹? いや、不妊しないから100匹? とにかく大変なことになっているのは間違いなかったのです。

 昨今、テレビで流れる多頭飼育崩壊のニュース。最初から100匹がこつぜんと現れるはずもありません。次のような経過でしょう。

 ある日やせたメス猫が現れ、家で飼うことにした。モリモリと餌を食べる毎日。そのうちおなかがふっくらとしてきてどうも妊娠しているらしい。妊婦猫は60日でお母さん猫になる。そうこうしているうちにかわいい子猫が5匹生まれ、メス猫もオス猫も元気に育つ。半年後、この子たちも交配のシーズンを迎え、また妊婦猫が……。

 これを繰り返し、あっという間に100匹の一族が誕生してしまうのです。

 100匹の餌、100匹のふん尿、お世話も行き届かなくなり、たちまち「多頭飼育崩壊」へ。近隣からの苦情が行政や愛護団体に届き、いざ介入し不妊手術を進めようとしても、ただ手術をするだけで解決する状況ではなくなっているのです。家中ふん尿だらけ、悪臭で目も開けられないくらい本当にひどい環境です。

 子猫たちは、近親交配のため、先天的な病気や障害を持っていることも珍しくありません。こんな状態の子たちを温かく迎えてくれる家族に出会うまでは、長い時間がかかります。この環境で育ったこの子たちは本当に幸せだったのでしょうか。

 何匹の飼育から多頭飼育なのか。基準は具体的にはありません。でも、動物は本来の姿で自由に動ける空間が必要なことは確かです。猫は高い所へ跳び上がり、走り回りたいのです。それができないとストレスから体調や行動に変調を来すこともよくあります。トイレを失敗したり、泌尿器系の病気にかかったりとてもつらい思いをさせてしまいます。私たち人間と同じ、ストレスに弱いのです。

 私たちアニマルフレンドはまだまだ経験不足な団体ですが、NPO法人「群馬わんにゃんネットワーク」さんをはじめ、個人的に活動しているボランティアさんと助け合って、多頭飼育が多頭飼育崩壊に流れないよう啓発していきたいと思います。

 かわいい家族の犬や猫たちが快適に過ごせる環境をご家族でよく考えてみてください。そうすれば、おのずと飼える頭数も決まってくるのではないでしょうか。快適な犬生、猫生をよろしくお願いいたします。



アニマルフレンド代表 霜村博子 太田市東長岡町

 【略歴】主婦業の傍ら、2013年に有志団体のアニマルフレンドを立ち上げ。東毛地域の7人で里親探しや「地域猫」の支援に取り組む。16年から現職。関東短大卒。

2019/05/09掲載

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