水と環境 おいしさと安全の源
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 「硝酸態窒素・亜硝酸態窒素」をご存じでしょうか? 過剰に摂取すると健康に被害があると言われる物質です。

 弊社は地下200メートルから地下水をくみ上げる、いわゆる井戸水を利用しています。この井戸水に飲料水としての基準値を超える硝酸態窒素・亜硝酸態窒素が含まれているのです。地下水の汚染は全国で問題視されています。実はペットボトルの水や食べている野菜、飲料水にも微量ながら含まれているのです。

 苦みやえぐみが強く、すぐに腐敗するような葉物野菜などは含有量が多い傾向にあります。海外では硝酸態窒素を含む野菜を過剰に摂取し死亡した事例もあります。日本に比べ、欧州では飲料水や野菜等に含まれる硝酸態窒素や亜硝酸体窒素の含有量検査や規制が非常に厳しいのです。

 なぜ、硝酸体窒素や亜硝酸態窒素によって飲料水や野菜までもが有害化されるのでしょうか。理由は窒素過多の土壌にあります。簡単に言いますと植物は窒素を栄養としてタンパク質に変えながら育ちます。より早く、より多く収穫するために植物が食べきれないほどの栄養を与えてしまう傾向があります。

 食べきれなかった栄養、いわゆる窒素は土壌に残り雨と共に河川へ流出したり、地下に浸透していきます。それらの窒素は硝酸体窒素となり、やがて亜硝酸態窒素になるのです。家畜のふん尿はアンモニア態窒素を多く含んでいるためすぐには吸収されず、地下に浸透しながら硝酸態窒素になり地下水汚染の原因になるともいわれています。

 肥料やふん尿の使用量と使い方によって農業が環境汚染や水質汚染の原因になっているのです。窒素過多は汚染の根源になるだけではなく、米や野菜を病気になりやすくし、味も悪くしています。病気にならないようにさらに農薬を使うわけですから悪循環としか言えません。

 弊社の農業は稲作が主ですが、水田用水も窒素分が高いことから稲わらや籾燻炭(もみくんたん)だけをすき込み、無施肥・無農薬による環境保全型営農を基本としています。おいしさと安全性は自信を持っています。全ての農業で無農薬・無施肥栽培は極論ですが、適正な施肥量、農薬散布、ふん尿処理を行うことで環境や水質の汚染に歯止めがされ、安心安全が担保される環境が復元されるよう願うばかりです。

 《注記》硝酸態窒素は還元反応によって亜硝酸イオンに変化し、さらに亜硝酸イオンは脂肪族アミンと反応することでニトロソアミンになります。亜硝酸イオンは血中のヘモグロビンに作用して酸素運搬機能が欠如したメトヘモグロビンを生成、メトヘモグロビン血症(ブルーベビー症候群)の原因の可能性があります。一部のニトロソ化合物は発がん、肝障害、生殖機能の障害といった健康被害を引き起こすと考えられています。



一般社団法人広域農業支援センター代表理事 新井貴久男 渋川市有馬

 【略歴】富士製作所社長。2008年に農業参入。15年より耕作放棄地利用権設定による作付け拡大・受託農作業開始。魚沼良食ナンバーワン大会特別金賞受賞。

2019/05/11掲載

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