英語“で”話せる力 世界で活躍するために
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 学校教育の中で一番重要な教科は何かという話を夕食の際に大学の友人と話し合う機会があった。宗教学を学ぶ友人は英語(母国語)、化学を学ぶ友人は数学、栄養学を学ぶ友人は科学全般と答えた。その席にいる友人たちは、私が英語と答えるであろうと予測していた。

 インターネット内の情報の52%は英語(日本語での情報は約5%)という現代の世の中で英語は極めて重要な言語であることは間違いない。今年1月と4月にコーネル大の農業・食品ビジネスの授業でスペインに行く機会があった。スペイン語が全く話せないので心配していたが、訪れた農園や企業、ワイナリーでは、そこで働く人たちが全て英語で案内をしてくれた。

 昨年10月にオランダのハーグで開催された、世界中の青年リーダーたちが集う世界最大級の国際会議「One Young World」に日本代表として参加した際、オランダ王室のマクシマ女王は英語で開会宣言した。

 英語が話せるようになったことで私の世界観は大きく変わった。世界中に友達ができたし、言語を習得しながら背景にある文化を学ぶことで日本語だけでは味わえないようなさまざまな経験ができている。英語が大切なことは身にしみて分かっているが、英語が一番重要な科目かと問われるとそうではないと思う。

 友人との夕食の席では、自分の興味のある教科が一番大切であると私は答えた。アメリカの学生たちが関心のある分野の教科を勉強している間、日本の学生たちは英語の勉強に何十時間も費やしている。しかし、英語が受験や就活でのテストのためだけに存在するのではなく、自分の得意なことや好きなことを極めるために学んでいるという意識を忘れてはならない。

 私自身、英語力の正確さでは他の学生を超えられないこともある。授業内のグループワークなどで英語力が劣っていると感じることもあるが、そのような時は、グループ内の自分の役割を追求し、グループワーク全体がうまく軌道を描くような働きをしている。時間やデータの管理にたけている私は、連絡調整役を担い、円滑な情報交換を促進している。私自身が収集した情報から独創的なアイデアを提供することも度々ある。

 英語が完璧に話せることが国際社会において、必ずしも一番必要な能力ではないだろう。一定レベルの英語力を超えた時、重要になってくるのは、良好な人間関係を構築する能力、専門的知識を活用する能力、さまざまな状況の中で自分の役割を見いだし、実行する能力などであると私は認識している。

 将来の国際社会で多くの日本人が活躍するためには、英語「が」話せる人材に力を入れる教育から、英語「で」話せる人の育成に舵(かじ)を切り替える必要があるのではないか。



コーネル大農業・生命科学部学生 沢浦えくぼ 米ニューヨーク州

 【略歴】共愛学園高を卒業後、米国オレゴン州ポートランドに留学。現在、コーネル大で農業ビジネスを中心に勉強中。食で世界中を幸せにすることが夢。昭和村出身。

2019/05/13掲載

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