群馬から世界へ③ 「労働力」から「仲間」に
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 最近、ジェトロに寄せられる相談で顕著に増えているのが、「外国人材」に関するものである。ものづくり、農畜産などあらゆる業種、また現場からマネジメントまであらゆる階層で人手不足が喫緊の課題となっており、とにかく今すぐにでも雇いたい、あるいはもう雇ってしまったという切迫感のある話が多い。

 今後日本人の少子化が一段と進む中、特に地方の中小企業にとって4年制大学や大学院を卒業して、技術がわかり、英語も話せるような日本人の高度人材を新卒で採用することはますます難しくなることもあり、全国で「高度外国人材」へのニーズが急速に高まっている。

 高度外国人材としては、日本の大学に通う留学生、または海外の学生を採用することになるが、留学生については、群馬県や群馬大なども就職支援を行っている。また、ジェトロでは留学生を含む外国人材と外国人採用を希望する中小企業の情報をまとめたポータルサイトを開設し掲載を受け付けている他、優秀な海外学生のインターンシップを受け入れたい企業を公募しており、30日に県庁で説明会を開く予定だ。

 ここで、「ひと」を扱うこれらの取り組みでは、「もの」を扱う貿易とは異なるため注意が必要だ。まず採用にあたっては、受け入れのための給与、宿舎などの待遇面だけではなく、優秀な人材がやりがいを感じ成長できる仕事が継続的に用意できるか、また定着してもらうためには、週末を含めて孤独にならず、生活を楽しめるかなど「心のケア」の準備が大切になる。

 今では、アジアの学生はSNSで母国の仲間とつながっており、リアルタイムで情報がシェアされる。就職先での仕事と生活を気に入れば知り合いにも薦めて人材が集まるが、逆に嫌な思いや体験をすれば、そのうわさもすぐに拡散し、その企業、地域には来てくれなくなるかもしれない。そういう意味では、一企業の問題でなく、地域全体に影響が出ることになる。

 その点で、歴史的に外から来る者に優しく、さまざまな国の外国人も長く受け入れてきた経験をもつ群馬には優位性がある。新たに群馬にきた外国人が、群馬に根付き群馬愛を持つ先輩外国人とつながる場ができれば、それ程心強いことはないだろう。企業や地域を横断して、持ち回りでBBQなど交流の機会を持つのも有効かもしれない。

 「外国人に優しい群馬県」のブランディングにより、国際的な人材獲得競争の勝ち組となって優秀な人材の集積を進められれば将来の県の競争力に直結する。海外から人生をかけて群馬へ来てくれる貴重な人材を、単なる「労働力」ではなく、職場や地域の「仲間」として、地域全体で受け入れることができるか、その成否で群馬の将来が大きく変わるかもしれない。



ジェトロ群馬貿易情報センター所長 柴原友範 高崎市栄町

 【略歴】1997年、日本貿易振興会(当時)に入会。シカゴ・センターなどを経て専門家による個別支援事業の企画、運営を担当。2018年6月から現職。東京都出身。

2019/05/21掲載

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