ランニングイベント ランナーに安全安心を
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 最近、ランニングしている方を良く見かけます。笹川スポーツ財団の調べでは、年1回以上のジョギング・ランニング実施率は、2018年は9.3%であり、推計実施人口964万人と言われています。12年の9.7%をピークに減少していますが、16年より増加しています。

 性別でみると男性は12.9%、女性は5.8%となっています。年代別では20歳代、30歳代(15.2%)が最多ですが、50歳代(9.4%)も増加しており、60歳代、70歳代以上の方も7.9%となっています。

 特別な道具が必要ではなく、誰でも気軽に始められることができるジョギング・ランニングですが、一方では危険な面もあります。実は突然死が最も多いスポーツがランニングなのです。1992年のデータと古いものですが、39歳以下ではランニングが1位、40歳~59歳ではゴルフに次ぎランニングが2位、60歳以上では3位となっており、全体ではランニングが1位となっています。

 アメリカでは、マラソン中の心肺停止は10万人あたり0.54人、つまり18万5千人に1人の割合で発生し、そのうち71%の人がそのまま亡くなっています。

 ランニングイベントの火付け役となった東京マラソンでは2007~18年の12回に42万3千人のランナーが参加し、11人が走っている最中に突然倒れ、一時は心肺停止に陥ってしまったという報告があります。つまり、3万8千人に1人が心肺停止に至っていることになります。

 ランニングイベントで起きる健康障害の多くは、「足がつる」などの骨格筋の障害や転倒による「擦過傷」など命に直接かかわらないものがほとんどです。しかし、心肺停止をはじめとする初期治療を誤ると命にかかわる熱中症や低体温症、低ナトリウム血症などの電解質異常が出現することがあります。

 それ故、大会に出場する参加者は、本人自らによる健康管理の責任が求められますが、大会主催者にも健康リスクの軽減への取り組みが求められます。また主催者には、健康異常が発生したときに備えた体制の整備も求められます。今までは、どのように体制を整備したら良いかの方法は明確ではありませんでしたが、18年に「マラソン・ロードレース救護・医療体制整備指針」がまとめられました。

 19年3月12日に群馬県が主催し初めて、消防隊員や救急医療機関、主催者となる市町村の関係者が参加し「ランニングイベントの救護体制を考える」勉強会が開催されました。今後県内で開催されるランニングイベントは、「ランナーが安全に走ることができるイベント」を目指し、救護体制だけでなく消防機関と医療者が協力し緊急時の医療を考慮した主催者の取り組みが必須であると考えます。



前橋赤十字病院高度救命救急センター長 中村光伸 前橋市川原町

 【略歴】群馬大医学部附属病院脳神経外科医などを経て、2015年4月から現職。日本赤十字社県支部災害医療コーディネーターも務める。群馬大医学部卒。

2019/06/04掲載

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