毎日続けた床磨き 心が強くなる実感
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 以前、教師を辞めて性転換して、ショーダンサーの世界に飛び込んだことをお話ししました。

 若くも美人でもない、ダンスのスキルも集客力も低い、ニューハーフ独特の爆笑トークも存在感もない―。「もうリサはいらないよね!」という声が聞こえてくるまでに、そう長い期間はかかりませんでした。

 絶望の中で、必死にレッスンでダンススキルの向上を図るも、他の人たちとの実力差は歴然。ニューハーフダンサーの多くは妖艶の極み。ミスユニバースに入賞してもおかしくないような容姿とセクシーダンス。数年前まで、中学校の野球部の監督で、千本ノックを繰り返していた私とは月とスッポン。でも、「覚悟に勝る決断なし」という座右の銘で、前に進むしかありませんでした。

 そんな中で、解決の活路を見いだしたのは、「原田メソッド」。ニュース番組の特集のコーナーで「一流企業が行列に並んでも受けさせたい研修」の講師として紹介されているのを見たからです。

 実践の中で、「心作り」と「成功の技術」の精度が高まっていく手応えを感じるようになりました。目標達成に向け、「強い心を育成するために」今でも実行し続けていることがあります。それは「奉仕活動・清掃活動等」を毎日続けることです。

 ダンサー時代は、職場では「毎日、終演後に楽屋の床磨きをすること」。家では「部屋の床磨きをすること」と決めていました。「心は大成功をすると急激に強くなるのではなく、毎日できる奉仕活動・清掃活動等を続けた長さによって強くなること」を学びました。それを強く実感する出来事がありました。

 毎日、同じメンバーでショーダンスの舞台に立っていて、一番つらいのは他のダンサーとの人間関係が舞台上のパフォーマンスに表れることでした。

 楽しく踊るシーンでは、相手のダンサーの目を見てほほ笑みを交わしながら「楽しいオーラ」で会場を満たさなくてはなりません。そんな時でも、開演直前の激しい言い争いを引きずり、一切目を合わせようとしない人も何人かいました。これではぶち壊しです。お客さまにもわかってしまいます。

 しかし、ある時、今までの自分なら、踊りながら困惑していたのに、一切動揺せずに落ち着いてほほ笑みで返すことができたのです。長い間、毎日楽屋の床磨きをしていたことが「ゆるぎない自信」につながりました。「先輩であってもあれは間違っている」「毎日みんなのために奉仕している私が一瞬のことで動揺して、ぶち壊してはもったいない! 協力してショーを作り上げている他の仲間たちのためにもここで崩れてはいけない!」という心の声が聞こえるようでした。



シャンソン・カンツォーネ歌手 村上リサ 東京都板橋区

 【略歴】県内公立中で音楽教諭をしながら、草津国際音楽アカデミーでE・ヘフリガー氏に師事。ショーダンサーを経て、歌手として活動。東吾妻町出身。東京音楽大卒。

2019/06/11掲載

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