独自路線の高崎市 部活のあり方一考を
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 拝啓 高崎市長さま

 日々高崎市民のために尽力され、ご多忙な日々を過ごされていると存じます。その合間に、私のこの拙文に目を通していただくわずかな時間をください。

 私は部活のあり方を調べ考えてきた研究者です。細々と研究を続け、海外の様子と比較したり、戦後の歴史を振り返ったりしてきました。すると、実は日本の今の部活はやり過ぎだ、ということがわかりました。何事もやり過ぎは良くないですが、頑張ることが「当たり前」と思われる部活もそのようです。

 だから私は、高崎市の部活の未来が輝かしく発展していくことを望むとともに、現状にいくらかの心配もしています。他地域の多くがスポーツ庁のガイドラインに沿った部活の方針をまとめる中で、高崎市は休養日や活動時間を定めない独自路線を選んでいるからです。

 私は驚きました。ガイドラインは生徒の健康を守り、教師の疲弊を防ぐためにつくられました。生徒のため、教師のため、そして部活を今後も持続させるためにも、部活を適切に規制することが大切です。

 ですから規制に取り組む努力を怠ると、「高崎、大丈夫?」と説明責任を追及されかねません。そうこうしていると、各校がガイドラインを守ろうと動きだしているようです。あらためて市は、どう対応されますか。

 市議会や市教委の議論を読むと、「校長が各校の実態に合わせて対応する」という方針のようです。たしかに、部活は自主的な課外活動ですから、「各校で対応」は一面的には正論と言えます。

 しかし、それでも各校が適切に対応できるように、サポートしたり環境整備したりする責任は、市にあります。「自主的な活動だから、それぞれでどうぞ」と、現場に任せ過ぎたがゆえに、部活は肥大化し、問題が生じてきたのです。部活の規制には市の、いや市長のリーダーシップこそ必要なのです。

 他方で高崎市は、ハイレベルな技術指導を可能にし、教師の負担も軽減するため、部活動指導員を3倍増する、という他に例を見ないスケールの政策を打ち出しました。たいへん魅力的で、「高崎、すごい!」と思いました。

 さて、その実現のために予算を確保できたでしょうか。高崎市がガイドラインを守っていないから、国や県は本年度の部活動指導員の人件費を補助しない、という報道に触れました。心配です。やはり予算獲得という大人の算段から見ても、部活改革に乗り出すべきではないでしょうか。

 市長。部活に苦しむ生徒と教師を含めた、高崎市民のために尽力されるあなたですから、失礼な私の物言いを懐深く受けとめてくれると信じます。いま一度、高崎の部活のあり方をご一考くださいませ。



早稲田大スポーツ科学学術院准教授 中澤篤史 横浜市緑区

 【略歴】専門はスポーツ社会学。著書に「そろそろ、部活のこれからを話しませんか」。趣味はコーヒーと囲碁。大阪府出身。東京大教育学部卒。妻の実家が前橋市。

2019/06/13掲載

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