転機迎える障害者雇用 企業文化の形成が鍵に
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 企業は障害者雇用促進法に基づき障害者を雇用する義務を負っていますが、多くの企業は障害者雇用に課題を持ち、現状と目指すべきゴールに大きなギャップを抱えています。そのギャップは、自社内の障害者雇用の場当たり的な対応が後手に回り、2、3年先を見通した戦略が存在しないために生じているとも言われています。

 それでは企業はなぜ障害者雇用を進めるのでしょうか? 社会貢献のために障害者雇用を進めるという企業も存在しますが、その考え方は平成という時代とともに終焉(しゅうえん)を迎えています。企業が障害者雇用を積極的に進めなければならない理由は他にあります。

 一つは、近い将来深刻な労働力不足が生まれるということです。弊社グループのパーソル総研と中央大との共同開発による労働市場予測モデルでは、2030年には644万人が不足すると推計しています。企業経営者は、障害者は企業の労働力であるという強い意思を持った行動をとることが必要です。

 もう一つの理由は、法定雇用率3%時代がやってくるということです。企業の法定雇用率は現在2.2%であり、3年以内に2.3%に引き上げられます。今後も5年ごとに見直しするため、近い将来、企業の法定雇用率3%時代が到来すると私は予測します。

 これは全従業員数の3%が障害者であることを意味します。競争社会の下、コスト1%削減に向けしのぎを削っている中、社会貢献を目的とした障害者雇用で企業は生き残っていけるでしょうか。障害者も企業のプロフィットを生むための重要な戦力に育成しなければなりません。

 このような企業の障害者雇用の考え方にパラダイムシフトが生まれた次のステップとして、自社内で進める障害者雇用のプロセスがあります。そのプロセスとは、一般的にトップの意思決定、知識習得、職域検討、指導者育成、実習生受け入れ、障害者採用・定着が挙げられます。このプロセスのベースにあるのが、障害者雇用の企業文化形成です。自社内でどうやってこの文化を形成していくかが障害者雇用のキーワードになります。

 私は法定雇用率が大幅未達で行政指導を受けている企業を数多く支援させていただきましたが、企業の障害者雇用における2大ボトルネックが、この企業文化形成と、それを可能とするトップの意思決定であると捉えています。このボトルネックが解消され、多くの障害者が当たり前のように企業で受け入れられ、職場で生き生き働ける社会が広がることを願っています。

 私もとみおか繭工房で障害者の活躍できる職域を模索しながら拡大していきたいと思います。



とみおか繭工房マネジャー 原田大 安中市原市

 【略歴】人材サービスのパーソルグループで障害者の就労支援事業を担当。子会社が企業養蚕に参入するのに当たり、2017年4月から現職。富岡高―青山学院大卒。

2019/06/25掲載

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