レッドリスト 保護の輪広げる大切さ
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 藤岡市に、環境水路と呼ばれる生物の生息に配慮した水路があります。県のレッドリストで絶滅危惧Ⅰ類にランクされているマツカサガイとヤリタナゴ、同Ⅱ類のホトケドジョウ等が住んでいます。この3種は市の天然記念物に指定されています。

 しかし現在、市内にこれら3種が生息できる場はこの水路1カ所だけの状況に陥りました。保護保全の最重要地点となり、この水路の草取りを行ってきた私どもやりたなごの会にとって思いもかけない事態です。

 今まで通りに女性だけ10人ほどの小さな会で抱え込んでいては、もう未来は見えません。これからは市民の皆さまに保護活動に参加いただくことが必要と考え、市に団体ボランティアを呼び掛けてもらいたいと相談しましたが、残念なことに、不調でした。

 ほ場整備事業の中での生物の保護活動は、立場の違う方々の間で心のすり減る日々でしたから、水路の草取りは仲間たちと穏やかな時間が流れる作業でした。ただ、経年的に草がたくましく根を張って生えるようになり、力仕事も増えてきました。お茶にしようと声をかけても、「あそこまで抜いてから」となかなか上がってこない仲間たち。頭が下がったものです。

 当初は、粗大ごみが投げ捨てられていたこともありましたが、その後は捨てられることはありませんでした。ところが、今年の春、流れがせき止められるほど大量の泥がジャガイモや玉ネギと一緒に捨てられていたのです。

 そこは湧水の流れ込む最上流部で、水量の少ない冬でしたら、水路全体が水枯れ状態になったと思われ、力が抜ける思いでした。看板など何もない小さな水路ですが、ヤリタナゴが忘れられてきたことも感じさせる出来事でした。

 2016年からネットでご覧になってボランティアの申し込みをいただくようになりました。藤岡工業高の生徒さんたちは今年も大勢で来てくれました。春先に水面を覆っていたクレソンをきれいに抜いてくれたチャイルドホープ上小鳥のお子さんたちは、2度目はヤリタナゴの絵を描いてきてくれました。

 春、群馬銀行環境財団賞をいただきました。放送大学の恩師、河合明宣教授(現特任教授)から「企業が環境に目を向けてきています。この受賞の意義は軽視できません。行動を広く周囲に知ってもらうことは、そうした方向性を普通の人々が認識していくことにつながると思います」と助言を受けました。当会名でボランティア協力をお願いしたところ、藤岡北高と藤岡青年経営者協議会から協力いただけることになりました。

 呼び掛ければ応えてくれる市民の方々がいます。断られても市にも対応をお願いし続け、野生の生き物たちのすめる環境が残っていくことを願っていこうと思います。



かんな川水辺の楽校運営協議会会長 掛川優子 藤岡市白石

 【略歴】水生生物の調査や保護活動に取り組み、2002年に環境省水環境部長表彰を受賞。藤岡市環境審議会委員長、やりたなごの会会長を務める。北海道出身。

2019/06/29掲載

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