群馬から世界へ④ スタートアップを育む
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 100年に一度といわれる大転換期に、業界を超えて起こるゲームチェンジをけん引するユニコーン企業(企業価値が10億ドルを超える未上場企業)を育てるため、その可能性を秘めたスタートアップ企業を次々と生み出すことに世界中の都市が躍起になっている。

 後れを取っていた日本でも、6月に政府がスタートアップ支援の総合戦略をまとめ、福岡やつくばなど積極的に動く都市も出ている。

 短期間に急成長するスタートアップは、既存産業の延長線上ではない不連続なイノベーションが鍵であり、分野もモビリティ、ロボティクス、ヘルスケア、食品など多様化が進んでいる。

 こうしたイノベーションは、業種、企業規模、国籍の枠を超えて多様性を持ったオープンなコミュニティーがアイデアを創発する基盤(エコシステム)の中で効率的に生まれるとされている。そうしたイノベーションを促し、スタートアップを育てる役割を担うのがアクセラレーターやベンチャーキャピタル(VC)である。

 ジェトロでも昨年度シリコンバレー、ロンドン、シンガポール、深?など海外12都市のアクセラレーター、VCに属するメンターと連携して日本のスタートアップを支援する取り組みを始め、本年度は23都市に拡大する。国内でも海外大手アクセラレーターを誘致する動きもみられ、いよいよ地域間のスタートアップ支援競争が始まる。

 群馬県は、大手家電量販店など地元で創業した企業も多く、元来起業家精神は高い。また自動車、半導体、食品など多様な大企業とそれを支える中小企業や大学、そして外国企業と外国人も多く、多様性が進んでいる。そして、「群馬イノベーションアワード(GIA)」(上毛新聞社主催、田中仁財団共催)というスタートアップを生み出すエコシステムも出来上がっており、他県と比べても優位性がある。

 一方、スタートアップでは創業まもなくグローバル展開することが求められるが、この点では群馬は遅れていると言わざるを得ず、国が優先的に海外展開を支援する約140のJ―Startupにも県内企業はない。

 そうしたグローバル・スタートアップを生み出す環境をいち早く整えることが群馬、日本にとって急務と考えており、ジェトロ群馬でもGIAと連携してシリコンバレーのアクセラレーターからメンターを招いたセミナーを12日に高崎で開く。

 今後はアイデアあふれる若者がリスクを抑えて創業できる仕組み作りなど、賛同いただける自治体、大企業、大学、金融機関とも連携して動きを加速させたい。群馬の強みを生かし、弱みを克服して、群馬から世界へはばたくスタートアップ、ユニコーンを1社でも多く育み、送り出したい。



ジェトロ群馬貿易情報センター所長 柴原友範 高崎市栄町

 【略歴】1997年、日本貿易振興会(当時)に入会。シカゴ・センターなどを経て専門家による個別支援事業の企画、運営を担当。2018年6月から現職。東京都出身。

2019/07/10掲載

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