沈黙のダイバーシティ 語られない女性の課題
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 「サイレント(=声をあげられない、沈黙の)・ダイバーシティ」

 これは、女性の健康支援事業を展開する当社が、現代女性と本テーマが置かれた特有の社会環境を解説するために、名付けた造語です。

 企業や社会の全セクターにおいて、ダイバーシティ推進の重要性が高まってきているのは、自明の事実です。

 ただ従来のダイバーシティは、見た目の性別・国籍・障害の有無といった、比較的見えやすい「属性」で語られることが多かったと思います。

 しかし、例えば見た目でわからない障害や不定愁訴・LGBTQ・家族の病気や介護など、そこに当てはまらないイシューが無限にあることもわかります。そしてこれらは、“見えにくく本人も語りたがらないが、人知れず抱える「働きづらさ」は深刻”であることも、想像に難くありません。

 これがまさに、「サイレント・ダイバーシティ」です。その一つに属するのが、「女性特有の健康課題」ではないかと当社は考えます。

 同じ女性でも、見えやすくサポートしやすい出産・育児などには施策が整ってきました。それに対し、妊活・不妊や、がんなどの疾病、PMS・更年期などの女性特有疾患はどれも、支援の受け皿がほとんどないのです。

 テーマの性質上、組織・職場内で気軽に相談できず、当事者は常に孤立しがちであるにもかかわらず、です。

 かつ、前回も言及した通り、女性の健康課題は、仕事のやりがいを感じ、管理職などに昇進する時期にリンクして生じる傾向があり、「働き盛り世代の女性は男性より疾病などの罹患(りかん)率が高い」ことは、統計的事実です。

 すなわち、「女性特有の健康課題」への対応は、女性活躍の文脈のみならず、組織全体の生産性にも明らかに直結する問題なのです。

 当社は現在、企業、自治体、学校などに「女性の健康」や「不妊・がん治療と仕事の両立」をテーマに研修・講演・コンサルティング支援を行い、私自身も前職で人材開発担当として、数百人以上の人材育成や、経営視点での研修設計に携わったバックグラウンドを持ちます。その中で、特に大手企業の間で、この女性従業員の健康支援というテーマは、社会的要請の高まりとともに、女性活躍・健康経営の両面から熱を帯びてきているのを感じます。

 だからこそ、本テーマの特性を熟知した支援体制の構築が急務であり、私自身も会社員時代、がん闘病・不妊治療と仕事の両立に苦しんだ当事者経験をもつ者の使命として、そのお役に立ちたいと考えています。

 次回は「働く女性の健康」という観点に的を絞り、その組織的支援の重要性と経済効果をお伝えしつつ、現状についてより深く考察していきたいと思います。



ライフサカス社長 西部沙緒里 東京都荒川区

 【略歴】博報堂でマーケティングなどを経験。群馬イノベーションアワード2015ファイナリスト。16年に妊活や女性の健康を支援するライフサカスを起業。前橋市出身。

2019/07/28掲載

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