知識の“摂取と消費” バランスのよい授業を
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 知識は、講義形式の一斉授業では教師から生徒への一方向的な流れになってしまいます。

 その流れの中では、教師は知識を注入し、生徒は知識を摂取するという形になりやすいです。もちろん、話したり、書いたり、議論したり、アウトプットするためには、できるだけたくさんの知識をインプットしておくことは必要です。ですから、教師はよかれと思って、たくさんの知識をいかに早く注入するかという視点に立って授業を展開してしまう傾向にあります。

 摂取する側、あるいは注入される側にいる生徒を中心に考えていくことも大切です。

 教師が、知識をたくさん注入しようとしても、受け手である生徒の許容量が小さければ吸収されずにあふれてしまいます。許容量を考えずに注入し続けることは「私はこれだけたくさん教えたのだから身に付いてないのは生徒に問題がある」となりやすいです。

 生徒の許容量は異なるので、一斉授業においては、この生徒にはあふれるが、この生徒にはまだ不足しているとなります。ただその許容量も変化するものであり、生徒が必要ないと判断した時点で許容量が小さくなってしまうのではないかと思います。

 からだのエネルギー量を把握するためのものとしてカロリーがあります。健康的なバランスは、消費するのと同等のカロリーを摂取することです。必要とする以上のカロリーを摂取し続けると、余分なカロリーは脂肪として蓄えられ、太ってしまいます。逆に、摂取するより多く消費したり、摂取量自体が少なかったりすれば痩せてしまいます。

 知識をエネルギーと考えると、アウトプット(消費)するためには、知識のインプット(摂取)が必要になります。アウトプットするために必要な知識がインプットされていなければアウトプットするときに内容に乏しいものになってしまいます。一方、アウトプットする機会がないと、何のためにインプットするのかわからなくなります。必要性を感じられない知識は許容量を超えてあふれ出た余分なものとなってしまいます。

 教師はたくさん知識をインプットさせたいのであれば、同時にアウトプットする機会を増やすことを考える必要があります。アウトプットする機会というのは授業とは限りません。授業だけで足りなければ、家庭学習の時間まで含めて考えることで、かなり増やすことができます。

 ある調査によると高校生の家庭学習の時間は学力階層別で大きく異なっているそうです。一方向型の授業でも、インプットされた知識を家庭学習の時間を使ってアウトプットしている生徒はうまくバランスが取れているでしょう。まずは授業時間内でインプットとアウトプットのバランスを取るような授業展開が基本かもしれません。



明和学園短大教授 田口哲男 高崎市羅漢町

 【略歴】県内公立高で37年、理科教育や学校運営に携わり、2018年4月から現職。日本バレーボール協会公認講師。近著「高校生に確かな学力をつける」。同志社大卒。

2019/07/31掲載

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