高崎高の特別授業 生徒よ、部活を語れ
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 昨年の秋、高崎高校で生徒向けの特別授業を行った。部活研究者の私なので、もちろんテーマは「部活」。部活まっただ中にいる生徒と、部活の在り方を語り合った。

 前半は講義形式で、海外の状況と比べた日本の部活の特徴を話した。生徒に、部活は「当たり前」ではない、と知ってほしかった。

 今の部活問題や進行中の部活改革も取り上げた。部活のやり過ぎが問題になっていて、生徒や教師が苦しんでいること。「ブラック部活」なんて怖い言葉もあること。やり過ぎを止めるため、夏休みの部活を禁止にする地域もあることを話した。生徒にも、こうした問題と解決策を考えてほしかった。

 ここまでが、私から生徒への一方的な話だ。

 授業の後半では、双方向的なディスカッションタイムを設けた。生徒から意見を出してもらい、全体で議論しようとした。私が投げ掛けたお題は二つ。

 一つは、「もし高崎高校でも部活のやり過ぎが問題になって、夏休みの部活を禁止することになったら…。あなたは賛成? それとも反対?」。

 もう一つは、「顧問の先生が、負担を感じて顧問を拒否してしまったら…。この先生はわがまま?」。

 私は正直、事前にお題を用意していたものの、生徒から意見が出てこず、シーンと教室が静まり返ったらどうしよう、と不安に思っていた。ところが、出るわ出るわ、生徒それぞれの部活論が止まらない。

 夏休み禁止の是非については、「それは困る。夏には大会があるし、部活を頑張りたい」という生徒がいた。対して、「確かに、やり過ぎのところもあるし、休みが増えるのはうれしいかも」という生徒もいた。

 とくに盛り上がったのが、教師の負担問題だ。「顧問がいなくなると部活ができなくなるから、顧問拒否はわがままだ」と“生徒目線”の意見があった。しかし、「先生は生徒以上に大変だから、許してあげよう」と“教師目線”の意見も生徒から出た。これには、傍聴していた高崎高校の先生たちも苦笑い。

 こんな生徒もいた。「ぼくの親は教員です。小さい時、親は部活ばかりで、全然遊んでくれなくて嫌だった。でも今度は自分が部活をするようになって、教員が支えてくれるから部活ができるんだと分かった」

 特別授業を終えた私の感想は、大人たちが傾聴すべき部活の意見を、生徒はしっかり持っている、ということだ。

 だから、昨今進められる部活改革は、生徒抜きで進めてはいけない。大人は生徒の声を聞くべきなのだ。

 そこで、生徒の皆さんにはこう伝えよう。今こそ、大いに部活を語れ!



早稲田大スポーツ科学学術院准教授 中澤篤史 横浜市緑区

 【略歴】専門はスポーツ社会学。著書に「そろそろ、部活のこれからを話しませんか」。趣味はコーヒーと囲碁。大阪府出身。東京大教育学部卒。妻の実家が前橋市。

2019/08/04掲載

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