障害者の選択肢 アートで収入を得たい
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 NPO法人工房あかねアトリエアートオンは現在、北軽井沢にあるルオムの森の企画展「内と外の自然」に出展中で、8月末からは中之条ビエンナーレでの展示も始まる。作品や活動を、世間のまだ届いていない場所で認知してもらうのは大きな目的なので、普段接点がないような方や、一般のアートファンの方々に作品を見てもらえる貴重な機会となる。

 私は普段グッズ作りを担当している。基本は手作りだ。メンバーがカバンに直書きしたり、コピー機でできることを考えたり、絵を描いた布をスタッフに頼んでミシンで小物にしたり(私は手芸は何もできない)。手芸が得意なメンバーは、発案から完成まで、全て自分で作業している。

 年に1回の大きな販売会、常設のお店、展覧会等、販売の機会は多い。常に締め切りに追われている。この夏はTシャツの通販を始めたかったが、手が回っていない。

 何を作ったらいいか、どうしたらメンバーが作業に参加できて売れるものになるか、ずっと考えてしまう。情け心で買ってもらうところから抜け出したい。

 売れたお金は規定に基づいて作者に支払われる。他の事業所に比べて少ない金額だが、通ってきている人たちに工賃を払っているので、少しでも売り上げを伸ばしたい。

 グッズ担当になり、気付くと私も福祉施設のグッズマニアになっていた。手すき和紙の一筆箋、オリジナルプリントのポーチ、織り、焼き物。大量生産されたものとも、プロの作家が作る一点物ともちょっと違うものを探して買う。ガタガタの縫い目で綿がはみ出ている猫のぬいぐるみは、アートオンのスタッフにすら「何でこれが良いの」と言われたが、ゆがみもかわいい。

 日常的に作品を気軽に感じてもらうのにグッズ制作は有効だと感じるが、工賃を払うための活動として考えた時、限界を感じている。百円ショップの品ぞろえがどんどん良くなっていく中、魅力的なグッズを素人が考えるのはたやすいことではない。作れる量にも限界がある。野菜や食品を売った方がずっと安定した収入になると思う。どの世界もそうだろうが、少ない人数で、時間もお金もない中どうしていくかは悩みの種だ。

 多くの事業所では「アートは趣味の世界であり、金になるものではない」という考えが普通だろう。実際、工賃をある程度出さなければならない形態でアート活動中心のところは全国でもほとんどない(スタッフがよほど有能なのだろうと思う)。だからこそ、私たちがアートでもやっていける方法を見つけられたら、もっとこういった形態の施設が増えていって、障害を持っている人たちの選択肢が増えていくはずだ。

 正直私には何もできない気がするが、今日も目の前の問題をコツコツ考え中である。



NPO法人工房あかねアトリエART・ON支援員 上野理津子 高崎市大沢町

 【略歴】2013年、障がいを持っている人たちの芸術活動を支援する「NPO法人工房あかね」に入職。半年後より現職。高崎女子高―金沢美術工芸大芸術学専攻卒。

2019/08/07掲載

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事