スポーツデンティスト 責任と誇りを胸に挑戦
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 スポーツデンティストの資格は、スポーツ指導者としての歯科医師の資格です。そんなスポーツ指導者としてスポーツ歯科やマウスガードの普及活動に際して、私が常に心掛けていることがあります。

 一つは「お仕着せにしない」と言うことです。地元のスキーのスポーツ少年団で指導する際にも心掛けています。毎年、シーズンの前後で保護者とミーティングをしています。その席で、「私の役目は子どもたちの心に火をつけること」という話をしています。以前にCMで流れていた「やる気スイッチ」です。

 このスイッチが入ると競技に向かう姿勢も変わり、自分から練習も積極的にするようになります。マウスガードの提供も同様で、効果や有効性について説明をして、選手から自主的に使用してもらうように心掛けています。

 そして、最も大切にしていることは「選手に対する責任」です。私たちは普段の診療で患者さんと接するのではなく、主に競技スポーツの世界の選手たちと、スポーツ指導者として接しなければいけません。その選手たちとは、金メダルを目指すトップアスリートからスポーツを始めたばかりの小中学生までを指しています。

 当然、オリンピックに出られたかどうか、メダルを取れたかどうかで、その後の選手生活や周囲の環境も変わってしまいます。それは中高生にとっても同様で、全国大会や上の大会に出場できたかどうかで、進学先やその後の進路も変わりかねません。

 そんな中で、競技中のけがはささいなものでも気になってしまい、プレーに支障をきたすことが多々あります。でもマウスガードを使うことによって、ほとんどの口のけがは防ぐことができます。そのことからも多くの選手にマウスガードを使用してもらいたいと思っています。

 しかし、アスリートたちから「使ってみたことはあるのだけど…」と言われることがよくあります。そんな適合性があまり良くないマウスガードはプレーに支障をきたすだけでなく、けがの原因になる可能性もあります。選手生命だけでなく、その後の人生にも影響を与えかねません。

 そのためには、責任感を持って研さんを積み「使って良かった!」と言われるようなマウスガードを提供し、適切な対応ができるように心掛けていかなければいけないと思っています。

 今後、競技団体での安全対策とともに、選手自らマウスガードを使用してもらえるように、「選手に対する責任」を忘れず、この活動を続けていきたいと思っています。「東京2020」には、医療スタッフとして歯科医師も参加することが決まっています。私たちも日本代表の一人として選手たちと同じ誇りをもって臨みたいと思っています。



歯科医師 片野勝司 みなかみ町湯宿温泉

 【略歴】スポーツデンティスト。片野歯科医院長。日本レスリング協会スポーツ医科学委員会。全日本スキー連盟情報医科学部。県ラグビー協会。東京歯科大卒。

2019/08/18掲載

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