環境保護と地域愛 学校ヤリタナゴを再び
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 本欄へ6稿目の寄稿になりました。県内で唯一藤岡市だけに生き残っていたヤリタナゴが再発見され、マツカサガイやホトケドジョウとともに、市天然記念物に指定された1998年ころから現在まで、私が関わってきた保護活動について書いてきました。

 当時は市内ほとんどの小中学校で飼育されていた学校ヤリタナゴのこと、市内に3カ所あった生息地に次々とほ場整備事業が始まったこと、ほ場整備区域の中に敷設された環境保全型水路のことや生息数の推移、かんな川水辺の楽校の設立経緯なども紹介してきました。

 掲載された当初から、「ヤリタナゴのこと、読みましたよ」と大勢の方に声を掛けていただきました。生息地にほ場整備工事が始まったと書いた後は、その現場を見に行ってくれた方がいると聞きました。「入会して保護活動を応援したいが」との問い合わせもいただきました。

 環境保全型水路にごみが投げ込まれていたことを書いた時は、地元の用水役員の方から「これからはこのようなことがあったらすぐ連絡してください。こちらで何とかするから」と、ご心配をいただきました。ほ場整備事業に、地元住民ではない私どもの環境保全型水路の設置というお願いを受け入れていただいて以来、ずっと感じてきた肩の力が抜けていくうれしい出来事でした。

 藤岡北高の新井健司先生からは、ヤリタナゴの保護活動について研究に取り組む準備を始めたと連絡をいただきました。研究目的は、「ヤリタナゴの生息できる環境を保全すること」、「活動主体が高齢化し、保全活動をいかに継続させるか」についてと伺いました。既に保全活動におけるアンケートを藤岡北高、藤岡工業高の生徒さんに依頼されたそうです。

 ヤリタナゴ観察会が中止となってから、報道されることもなくなり、忘れられてきたヤリタナゴが研究対象になることは、ありがたいことです。

 最初の稿で書いた学校ヤリタナゴの現状は変わっていません。市内ほとんどの小中学校で、ヤリタナゴは忘れられてきました。ヤリタナゴ自体は丈夫な魚ですから、何か別の、今までとは違う方法が必要と思われます。

 市内小中学校に新しくコミュニティー・スクール(学校運営協議会制度)が始動しています。学校と地域住民らが学校運営に協働して取り組む制度です。ここに環境教育の支援としてヤリタナゴ飼育に手を差し伸べていただけないものでしょうか。

 学校にゆとりの時間があったころ、美九里東小には郷土料理や郷土芸能、農業体験の指導などに大勢の地元の人々が訪れていました。あのような雰囲気の中でヤリタナゴも地域に親しまれる存在になってほしいと思うのです。



かんな川水辺の楽校運営協議会会長 掛川優子 藤岡市白石

【略歴】水生生物の調査や保護活動に取り組み、2002年に環境省水環境部長表彰を受賞。藤岡市環境審議会委員長、やりたなごの会会長を務める。北海道出身。

2019/08/20掲載

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