イイトコと夏休み 支援の輪が思い出作る
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 夏休みがやってくると「夏休みの思い出」を描く宿題というものがあったりする。

 1年前のこと。「ぼくんち、どこにも行けないから描けなかった。みんなはいろいろな所に行っているのに、どうして…」。障害のあるお兄さんと一緒にiitoko(イイトコ)に来てつぶやいた弟君の思い。改めて私は感じることがあった。障害を持つ子どもを育てる母親(家族)は外出、外食、外泊に困っている。健常な兄弟の行動範囲も制限があるのだ。家族の夏の思い出作りをためらってしまうことは少なくないという。

 去年9月。イイトコのスタッフと話し合った。「お母さんにとっても、子どもたちにとっても、楽しい夏休みの思い出作りをしよう」

 パルシステム生活協同組合連合会地域づくり基金に資金面で支援をいただけるチャンスを得た。この時の企画書にこう書いた。「『夏休みの思い出の絵が描けなかった』という子どもの声を聞いた。障害のある子どもを育てる家庭では外出に大変な制限がある。しかし、家族を支える力があれば外出も外泊もできる。その力になろうと『夏休みの思い出を作ろう!』を企画した」

 今年8月3、4の両日、1泊2日の「夏休みの思い出を作ろう!」を決行した。19組の親子が参加した。2日間のどの時間から参加しても楽しめるようにした。

 朝9時、バスに乗ることも初めての親子もあった。運転手さんのバックミラー越しの笑顔に支えられてのスタートだ。アグリファームで朝採り野菜を持って、あかぎの森の幼稚園へ。ハンモック、サワガニ、石と水で遊ぶ。外で食べるそうめんも焼きトウモロコシもおいしい。

 夕食は、ホワイトインのシェフがイイトコでおもてなし料理を振る舞ってくれた。ビンマムショーで歌ったり踊ったり、夜は皆で手持ち花火。愛幸の社長さん自ら20組分の布団を運び込んでくださり、イイトコに敷き詰められた布団に子どもたちは大喜び。

 翌日は料理長の享子お母さんの朝ご飯の匂いで目覚め、農家の父ちゃん会の畑へ移動。この日のために野菜を育ててくれたことに感謝し、収穫させていただいた。昼食は松竹飯店。外食が初めての家族もあった。

 皆が笑顔だった。2児を抱える参加者のママがスマホに感想を入れてくれた。

 「バスに乗れたのも、川で足が汚れてパニックになったのも、切り替えてハンモックで遊べたのも、ご飯を外で食べたのも、山林道を歩いたのも、おいしい夕飯を食べたのも、コンサートを楽しめたのも、花火をしたのも、最高の思い出になりました。私には居場所があるし、こんなにステキな仲間がいるのだと涙が出てきました。子育て頑張ります。夏休みの思い出を本当にありがとうございました」



特定非営利活動法人iitoko代表 浅香千恵 高崎市吉井町下奥平

 【略歴】幼稚園教諭や障害児の放課後デイサービスの職員を経験。2014年、障害児を育てる母親を支援する団体「iitoko」設立。高崎保育専門学校卒。

2019/8/24掲載

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