学びの場の可能性 幸せな「自分の居場所」
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 シリウスを設立して、1年半が過ぎた。この1年半、ものすごいスピードで駆け抜けてきたように感じる。

 この夏、ようやく、これまでの道を振り返っている。「学び場の可能性を感じた」。これは、館林市教育委員会のある先生の言葉である。

 市教委の先生方はシリウス訪問の折、子どもたちとともに「通信制高校を知る」「経験を絵や言葉で表現する」のプログラムを体験された。

 シリウスは、学校に行かない選択をしたどんな子どもたちにも最先端の学びの機会を提供したり、感性を育み合いながら語り合ったりしていきたいと考えている。だからこそ、先の言葉に、学校外の学び場の意義を確認し、うれしく思った。

 後日、市教委が出席扱いのガイドラインを策定し、シリウスに通う子どもたちは「出席扱い」になった。ガイドラインをもとに、各学校長が出席扱いを認める流れである。

 子どもたちや保護者の方々にとっては、学校の先生たちが今の自分を認め、応援してくれているという気持ちになるのだと思う。

 ある日、館林市の須藤和臣市長がシリウスの子どもたちに声をかけてくれた。その時、ある中学生が「館林もシリウスのようなところを認めてくれてうれしい」と感謝の意を伝えた。その場に居合わせた私は、事前に準備されたのではない、心からの彼女の言葉を聞き、驚きとともに、言葉にならない感動を覚えた。彼女がこれまで抱えてきたものや深いところにある喜びに触れた気がしたのである。

 初夏には、市の適応指導教室の先生方と相談員の皆さんにも来訪いただき、情報交換をした。必要な家庭にシリウスのことを伝えるなど、行政側からの情報提供という大きな動きにつながっている。

 群馬県発行の「こどもの居場所ハンドブック」に掲載いただいたことも、大きな一歩である。

 今夏、新たに「オンラインシリウス」を始め、入会児童・生徒数は7人になった。これまで30人以上の子どもたちが、相談や見学・体験、ワークショップ参加をしている。

 シリウスに出合い、「自分の居場所」と思う子が増えていく中、運営の継続が何より大事だと感じている。

 しかし、目の前に立ちはだかる「経営面」という壁は、あまりに高く、分厚い。「シリウスは知ってるけど、うちはシングルマザーだから通わせられない」という声が私の耳にも届く。

 学校や適応指導教室が合わない子が、別の学び場に出合ったとしても、経済的理由で選べないというのは、どんな子どもにも教育機会を確保できているとは言えない。

 全国にあるシリウスのような学び場の多くは、まだ国からも行政からも経済的支援がない。制度として、どうにかできないものかと切に思う。



フリースクール「まなビバ!シリウス」代表 安楽岡優子 館林市仲町

 【略歴】小中学校の教員を11年間務め、アフリカ・タンザニアでのボランティアや東北で復興支援教員を経験。2018年4月にシリウスを立ち上げた。熊本市出身。
 
2019/08/25掲載

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