取材インターンシップ 質問力と聴く力鍛える
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 夏休みの大学生はアルバイト、海外留学、地域活動、ゼミ合宿、資格試験などで忙しいです。3年生は企業インターンシップに取り組み、4年生は就職活動中の学生が多くいます。

 就職情報サイトによると、2020年卒大学生の7月末時点の内々定率は80%ですが、未内定者を含む36.8%の学生は依然として就活を継続しています(マイナビ大学生就職内定率調査)。

 学生にとって就職は人生の大きな選択ですから、当然だと思います。企業の皆さまは、採用に際して「縁があった、なかった」という言い方をされます。私は学生に「出会い、運、実力」で採用が決まると言います。これは社会人になっても変わりません。人的ネットワーク3割、その時の環境3割、自分のパフォーマンス3割で仕事の成果が左右されます。あと1割は状況を読むセンス(感性)が決め手になります。

 こんなことを4年前から「取材インターンシップ」という実践型科目で学生に伝えています。学生チームが1日だけ実際の職場を訪問して、社会人に1~2時間のインタビューをするインターンシップです。一見簡単そうに見えますが、学生にはハードルが高い授業内容です。

 今の学生は社会人と話をする機会がまずありません。インタビューをしようにも紋切り型で会話になりません。聴く力、質問力が乏しいわけです。話が経営者のビジョンや人生哲学になると、目が点になってしまいます。そうならないために事前研修で質問力アップの訓練と取材先の企業調査を、3日間朝から夕方まで集中して行います。翌日の朝までの宿題もあります。

 質問の仕方、会話の続け方を練習して、社会人に必要なスキルを身に付けます。また企業の経営理念、規模、優位性、商品特徴、社長の記事などを調べ、学生視点で調査資料と質問事項を作成して取材インタビューに臨みます。

 取材当日は社長や社員の前で、学生チームが企業調査のプレゼンテーションをするのですが、厳しい指摘や温かいアドバイスを頂戴します。

 インタビューは仕事の内容からワークライフバランス、会社の沿革、創業や入社の経緯、社会人の信条、生き方におよび、若者に期待することを伺って終わります。学生に何かを伝えようとする経営者や社員の皆さんの真摯(しんし)な姿勢には、いつも感動を覚えます。採用選抜を目的にした「One Day インターンシップ」とは一線を画す、社会連携教育になっていると考えています。

 この夏はアイオー信用金庫、ヤマト、エアムーブ住宅、群馬トヨタ自動車、きもの小川屋、前橋市役所に学生が訪問します。9月中旬には3日間の事後研修を行い、報告書をまとめます。学生には暑い夏になりそうです。



共愛学園前橋国際大教授 奥山龍一 東京都中野区

 【略歴】1978~2013年に早稲田大職員を務めた後、14年10月から現職。サンデン環境みらい財団理事、牛久保・天田育英財団理事。東京都出身。早稲田大卒。
 
2019/08/28掲載

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