子どもからの贈り物 豊かな思い出を作ろう
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 あそびの森保育園も15年目に突入した。卒園児が大学受験を迎え、また先生にも親にも話しづらい恋愛を相談に来るようにもなった。部活終わりに遊びに来てくれる中学生もいる。もちろん多くの子どもたちは卒園や転園=お別れのことが多いが、こうして卒園後も、子どもたちの居場所として在り続けることができるのを大変うれしく思う。

 転園される時、保護者の方から、こう温かく言っていただくことがある。「保育園のことも、先生たちのことも私たちは覚えていても、小さいから子どもたちはきっと覚えていられないのでしょうね。寂しいですよね。先生たちは与えてばかりで本当に大変な仕事だと思います」

 初めて親元を離れて保育園に預けられるという子が多いため、もちろん大変な時もある。しかし私たちは、その中でもかけがえのないプレゼントをもらっている。それは共に過ごした思い出だ。

 初めての場所や人に涙を流す子どもの心を全身で受け止めると、その先には信頼し安心をした笑顔がある。遊びはもちろん、食事・睡眠・トイレなどにおいても一つ一つストーリーができる。子どもたちと保護者の方々と、こうして心を通わせて成長を共にした思い出が何よりのご褒美だ。子どもたちに、私たち自身の人生を豊かにしてもらっているとさえ感じている。

 子どもたちの記憶がなくなったとしても、関わった時間の中でしっかりと心に愛を届けている自負がある。覚えてなくとも、しっかりと生きていく上で大切な愛されたという体験を届けられた、そう実感を持てること自体も私たちの幸せなのだ。

 ぜひ保育士や先生を仕事にしている方々は、子どもを預かる前に、教える前に改めて愛情を届けているかを考えてほしい。届けている方は一層の愛を、教えることにばかり視野が傾いていた方は改めて考えてみるきっかけになればとてもうれしい。愛情をもって接することで、一方通行だった教育が、共に目標を持ち、生徒と先生が「共に学び共に成長する関係」へとつながっていくと確信している。

 私自身、人生は思い出づくりだと考えている。当園のテーマの一つも「毎日が思い出に!」。子どもたちは、遊びを通してさまざまな体験をし、どんどん驚くほど成長していく。そしてそれは自信となり人生の大切な思い出となる。大人も子どももいろんなうれしい気持ちや喜びは良い思い出として、悲しい気持ちやつらいことは未来への糧やバネにして思い出を積み重ねていくのだ。

 どの職業でも当てはまると思うが、仕事を通して出会い関わった人と、共にお互いの人生の思い出づくりができたならば、そんな幸せなことはないと感じている。さあ! 今日という一日も豊かな思い出にしよう!。



あそびの森保育園園長 新井琢磨 前橋市箱田町

 【略歴】2008年から保育園を経営し、学校の長期休業時は学童保育も運営。傍らNPO法人ぐんまを元気にする会で次世代の若者支援に取り組む。日本大卒。
 
2019/09/02掲載

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