働く女性の隠れた真実 健康は企業の経営課題
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 「企業にとって、女性の健康は“重大な経営課題”である」という論説が、昨今よく話題に上がります。なぜいま、組織で働く女性の健康支援が、重要な経営課題となっているのでしょうか。

 まず、このことを客観的に下支えするデータから、お示ししたいと思います。

 「働く女性2500万人のうち、17.1%が婦人科疾患になることによる経済的損失額」が約6兆円であるという膨大な試算が、公的機関の調査で明らかにされました。

 がんと不妊を一例にとると、25~44歳女性のがんは実に10年で倍増し、女性特有の乳がん、子宮がんなどは罹患(りかん)年齢の若年齢化が進んでいるとの指摘もされています。

 不妊に悩む女性も近年まで7~8人に1人でしたが、直近の発表では、5.5人に1人と上方修正されました。

 このように、女性の健康課題は働き盛りの時期に集中して生じる傾向があるため、男性以上に、実質損失額が大きくなってしまうのです。

 続いてもう一つ、「女性ホルモンが体に与える影響を知らないことにより招いている労働損失額」が、約5000億円とのデータがあります。

 性ホルモンの働きにより、女性の心身は、男性には起こらない変化のサイクルを毎月繰り返します。

 他の調査では、このホルモンの影響にまつわる「PMS(月経前症候群)や生理痛で、仕事のパフォーマンスが通常の半分以下になる」と答えた人の割合が、実に45%に上ります。

 こうしたことが原因で生じるのが、欠勤や生産性の低下などです。その積み重ねを数値化すると、約5000億円の損失という試算になります。

 女性ホルモンの影響では、見逃せないもう一つの側面が、更年期障害です。

 内閣府の調査で、管理職世代の40代で約40%、50代で50%が更年期のホルモン変動に起因する不調を感じ、50代の約10%が実際に治療中、と回答しています。

 経済産業省の調査では、疾病から日常の不調までの大小含めた「何らかの健康問題を理由に、職場で“あきらめた”経験がある女性」が、全体の43%に上ります。具体的に彼女らがあきらめたことは、正社員、希望の職種、キャリアアップ、管理職昇進…。

 この、管理職になるのをあきらめたという声は、女性の社会進出を後押しする上で見過ごせないものです。しかし、このような声はこれまで公になって来ず、企業経営や政策に生かされていませんでした。

 明らかにこれは、個人の自己責任を超えて、社会・組織全体の経営課題である、と言えるのではないでしょうか。

 本稿では、組織で働く女性の健康課題の経済的インパクトと、その支援の重要性を解説してきました。次回も本テーマをより深掘りしていきたいと思います。



ライフサカス社長 西部沙緒里 東京都荒川区

 【略歴】博報堂でマーケティングなどを経験。群馬イノベーションアワード2015ファイナリスト。16年に妊活や女性の健康を支援するライフサカスを起業。前橋市出身。
 
2019/09/08掲載

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