パレスチナのごみ問題 援助機関の連携で成果
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 パレスチナでごみ問題への支援を行っている国際機関は、日本の国際協力機構(JICA)だけではない。世界銀行や国連開発計画、国連人間居住計画、国連パレスチナ難民救済事業機関といった国連機関、フランス開発庁、ドイツの国際協力公社やドイツ復興金融公庫といった各国の援助機関、さらには日本や各国のNGOもこの問題に取り組んでいる。

 国際協力というのは、それぞれの援助国・機関が独立して対象国・地域に対して援助を行っているだけではなく、互いに援助内容が重複したり、逆に必要な支援が欠けてしまうことを避けるために情報交換を行って援助内容を調整したり、時には協働しながら活動している。それにより全体として大きな成果を出している。いわばチームワークと言える。

 パレスチナのごみ問題に関しても、例えば、JICAは各地域で発生したごみを適切に収集し、衛生埋立処分場まで運搬する仕組みをヨルダン川西岸地区全域で構築し、さらにごみ収集車等の支援を行ってきた。一方で、世界銀行はほぼ同時期にこの地区の主要な二つの衛生埋立処分場の建設・運営支援を行ってきた。

 つまり、JICAと世界銀行それぞれによるハード面とソフト面の支援がうまく役割分担され、ごみの収集運搬から最終処分までの一連のシステムが相乗効果として確立されたのだ。さらにそれを踏まえて、JICAはパレスチナ初となる廃棄物管理基本法や廃棄物国家戦略、各種計画の策定支援を行い、法制度・戦略に基づく計画的なごみ処理が機能できるように支援してきたのだ。

 このような各国・機関が援助調整を行うため、パレスチナに限らず多くの国・地域で関係機関が一堂に集まり、援助内容の協調、さらには課題の共有のための定期的な会合が開催されている。パレスチナにおいてもさまざまな課題ごとにこのような会合が定期的に開催されているのだ。ごみ問題についても、パレスチナ側は地方自治庁、援助機関側はJICAが共同議長となり、年4回の定期会合を開催している。

 パレスチナのごみ問題の現在のホットな課題は、特に、発生するごみの量をいかに減らすかという仕組みの構築である。最近のこの会合では、ごみ処理への官民連携や民間投資、リサイクル活動の促進のために必要な制度・技術とそれに対して必要な支援について議論を行ってきた。

 国際協力というものは、一つ一つの国・組織では予算や技術も限られている。そのような時に、互いに他の機関と協調してその国にとって必要な支援を互いに目指し実現させていくことが大切であり、全体として大きな相乗効果を生み出すことが可能になるのだ。



国際協力機構(JICA)専門家 村田貴朗 前橋市下川町

 【略歴】2016年からJICAに勤務し、10カ国以上の環境プロジェクトに携わった。廃棄物管理の専門家としてパレスチナ地方自治庁に派遣された。京都大大学院修了。
 
2019/09/11掲載

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