ライブへ出かけよう
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 8月の2日間、故郷渋川市で演奏してきた。16日はデイサービス遊楽里なごみ、17日は喫茶ルナで、新しいCD「YAKUMO」のプロモーションを兼ねたライブ。どちらも盛況で、お世話になった古くからの知人や同級生に再会する機会にもなり、大勢の方の応援によって現在の自分があるということを再確認できた。

 東京で毎日の演奏に追われ、切磋琢磨(せっさたくま)の渦のなかにいると忘れてしまうものがある。まだ牧歌的な少年時代を過ごしていた故郷渋川に帰ると、ここで育ち、音楽の最初の訓練を受けたことを思い出す。

 この柔らかく温かい空気の中にいると、自己肯定感を得られ、自分にできることをひたむきにやり続ければいいという前向きな結論に達することができる。私にとって気持ちをリセットする時でもある。

 東京は人が多いだけ企画の数も多い。毎日いたるところでライブがある。統計的なものは分からないが、人口対企画の比率は群馬より東京の方が高い気がする。それだけ東京は競争が激しいと言えるし、多くの演奏家にとっての主戦場である。

 しかし、群馬にもっとたくさんのライブがあってもいい。今回の帰省で知人に聞くと、私が知らなかった会場、ピアノがあって時々演奏会をするような小さな場がいくつもあるらしい。リサーチ不足だった。もっと意欲的に、新しいライブの企画を立てていこうと思った。

 演奏会企画において常に問題になるのは「集客」である。聴き手が集まらなければ企画は成り立たない。誰かの赤字、負担で強行することになり、持続が難しい。

 演奏家側には、企画を周知させる努力、その魅力を発信する努力がもっと必要だ。ともすると、この努力を主催者や会場側に頼ってしまうこともまま見受けられる。「人を集める」という仕事はどんな世界でも大変なことだ。演奏家が音楽のことだけを考えていればいい時代は終わった。もちろん一握りのスタープレーヤーはそれでいいのだろうが、僕のような平凡な音楽家が企画を主催する時は、それ相応の努力が必要になってくる。

 県内の皆さんにお伝えしたい。とにかく、コンサート、ライブと名のつくものに出かけてみよう。一人一人の参加が、音楽文化に対する尊い支えになる。人の集まるところにエネルギーが生まれる。新しい出会いがあり、チャンスがあり、その連鎖が起こる。

 私自身、渋川市観光大使に任命されていながら、故郷のために恩返しができていないという反省もある。魅力的なライブを企画して人を集めることで、渋川活性化の一助になればという気持ちで取り組みたい。



ジャズピアニスト 保坂修平 東京都足立区

 【略歴】渋川市観光大使。「俺のフレンチ」などを展開する「俺の株式会社」音楽部門首席ピアニスト。「タペストリーズ」などのCDを発表。渋川高―東京芸術大卒。

2019/09/14掲載

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