人生100年時代 充実した生き方へ挑戦
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 「人生100年時代」という言葉がよく話題に上るようになりました。現在は元気な高齢者を街中に見かけ、もはや100歳まで生きるのも当然な時代が、確実にやって来ています。国でも人生100年時代に向けた制度改革を進め始めています。

 30年前頃までは「学校を卒業したら、一つの会社を勤め上げ、年金で残りの人生を楽しむ」というライフスタイルでした。人生100年時代、そんな生き方は通用しなくなります。30年以上にもなる余生は、現役時代の蓄えなどだけでは賄えきれず、どう生きるかを問われています。

 人生100年時代とは、グラットン教授が著書「ライフ・シフト」で唱えた考え方です。「技術の進歩で人は80歳まで働くようになり、これまでの人生は学習・仕事・引退の三つの段階しかなかったが、人生をいくつかのステージに分け、学びと転職を繰り返すべきだ」と提案しています。長寿社会では人生2回論など自由で多彩なライフデザインが可能です。個人の意識改革と同時に社会の仕組みを変えていくことが重要です。

 私は団塊の世代で20、30代は高度成長期と相まって走り続けた年代でした。40代になり、自分の人生を定年のない人生にしようと考え、他に寄生しない自律性を持った自らのビジョンを計画しました。

 まず、仕事を続けながら夜間や週末だけ通学し、単位が修得できる大学院に入学しました。一つの専門分野だけではなく、新しい分野の知識を学びたいと考えたからです。若者と机を並べて学ぶことは、刺激的であり、学ぶことの意味を深く考えさせられました。

 社会人になってから学び直すことは、人生の経験を積んだからこそ見えてくるものがありました。仕事と学業の両立は大変でしたが、その後の人生の基盤になったことは間違いありません。リカレント教育は現在、どの大学にも整備されてきていますが、30年前は少なく先駆的な試みでした。

 私は60代にホテルやゲストハウスの運営を始めました。開業や運営するにあたり、今までの経験や学んだことが全て役に立ちました。そこには世界中からさまざまなゲストが訪れます。訪日客が喜ぶ姿を見ることは、私にとっても大きな喜びです。自分がサービス業の一員になるとは思いもよらぬことでしたが、そんなことが起きるのが人生の醍醐味(だいごみ)かもしれません。

 一般的にリタイア後の人生を考える時、お金や健康に関心がいきがちですが、人生を充実させるため最も重要なものは、「生きがい」や「社会とのつながり」ではないでしょうか。健康で働く意欲が続くかぎり自ら働き、生活の糧をわずかでも得ることや社会参加は、人生において何歳になっても変わらないことではないかと考えます。



元群馬高専講師・ゲストハウス運営 生形健司 高崎市東町

 【略歴】ゲストハウス運営の傍ら、NSM資格審査委員、ウイングユー社長を務める。技術士。元東京都職員、群馬県職員、群馬高専講師。群馬高専―慶応大法学部卒。
 
2019/09/19掲載

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