外国人雇用の留意点 海外の労使慣行を主に
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 前回述べた海外で労働者が置かれている状況からみて、外国人労働者を日本の現場に雇用する場合、特に留意すべき点をまとめてみた。

 職務内容、給与の決め方、勤務時間、解雇条件などを詳細に雇用契約に書き、相手に十分理解させ確認の署名を取ること。雇用者は契約書に記載したことは必ず守ること。雇用者が途上国の人間だと見下して契約に反する行為が後を絶たないと聞く。

 日々の仕事内容の指示は詳細に行うこと。彼らは指示されたことしかやらない。日本のように指示がないことまで労働者が自分で考えてやることはない。東アジアで一般的に行われている前回述べた減点カードシステムを採用するのも一つの方法。日本人からすれば、「働く人にこんなひどい扱いをするなんて」と思うかもしれない。しかし彼らにとっては当たり前のことなのだ。

 ただし、これをうまくやるには彼らの言葉で論理的に納得させることができる人材が必要になる。今まで使った技術研修生または留学生パートの中でこれができる人材を現場監督者として採用することを勧める。

 日本的な雇用慣行は世界中で極めて異質なものである。労働者同士がお互いにいたわりあい、使用者と労働者とが信頼で結ばれている。これはこれで素晴らしいことだと私は思っている。しかし、こうした環境に外国人労働者を参入させる場合には、海外の労使慣行を9割程度採用し、日本的なものはせいぜい1割程度にした方がよいと思う。

 日本的なもの、たとえば職場内で階級を問わず皆いっしょにパーティーをやることなどから始めたらどうか。中国人はこれに概して冷ややかだが、ベトナムなどの東南アジア人には好評のようだ。

 彼らとの共生に向け、どうしたらよいだろうか。

 彼らはほとんどが日本に出稼ぎに来るわけだから、金を得れば帰国する。中には数年たって、日本的雇用慣行のよいところに目を向けて、特定技能2号になり5年を超えて在留資格を取ろうとする者が出てくるだろう。その際は過去の勤務成績のよいものにその資格を与えればよい。私の海外経験からいうと、おそらく彼らの1割か2割くらいがこのような道を選ぶのではないかと考えている。

 今まで政府は労働者を正面きって入国させることをしてこなかったから、技術研修生と留学生への生活支援をほとんどやってこなかった。地方自治体やNPO法人などが手を差し伸べてきた。

 今回の本格的労働力の導入にあたり、地方自治体が今までの支援実績をもとに表に出て、各国語別の雇用契約のひな型を作ったり、生活支援の整備などに本格的に乗り出すべき時が来たのではないかと思う。



小林国際事務所代表 小林元 横浜市栄区

 【略歴】東レで欧州、アフリカ、中南米などの海外事業を担当。イタリア政府から勲章を授与される。明治大特別招聘教授。前橋市出身。前橋高―慶応大卒。
 
2019/09/26掲載

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事