地球人として 笑顔は世界への扉開く
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 今年3月、日本から3千キロ南下した常夏のフィリピンに行きました。学生の医療・福祉研修引率者としての9日間の旅でした。その後、8、9月には、日本から北東8500キロ、朝晩は初冬のカナダに行きました。語学研修引率者としての9泊11日の旅でした。なお、後述の三つの見解は、本学学生や筆者の体験に基づくものです。

 一つ目は【多様性の受容】です。本学の協定校であるカナダのレジャイナ大(以下「レ大」)は、各大陸からの留学生であふれ、さまざまな人種が混在し、多言語が飛び交っていました。また、障害のある学生に優しく、彼ら彼女らのための自動扉、トイレの充実等バリアフリーの完成度には驚かされました。

 レ大に寄宿したわれわれを、アシスタント学生で、韓国系カナダ人のJi(ジー)さんは不思議がっていました。「なぜ、日本の学生は、集団で食事をとるの」と。確かに、大学内カフェテリアの食事時間は2時間程あり、その時間のどこで食べてもいいのです。同質集団の中で、心の安定を求めがちな日本人の一面を再認識しました。

 二つ目は【指導者の立ち位置】です。本学の協定校であるフィリピンのアレリアーノ大(以下「ア大」)では、数人の担当教員と学生ボランティアが、全ての活動に付き添い、笑顔で温かく見守ってくれました。冬の日本から乾期高温のフィリピンに入ったせいか、学生が数人、熱を出しました。本学看護学部の引率教員、そしてア大の教員、通訳も献身的に介抱してくれ、すぐに熱は下がりました。

 翻って、レ大ではアシスタント学生にほぼ任せ、担当教員は黒子役で、必要最低限の支援に徹していました。ア大・レ大の立ち位置の是非でなく、お国柄・両大学の方針が反映されていることを実感しました。

 三つ目は【笑顔は世界の共通語】です。ア大の担当教員は、常に笑顔を絶やさず、本学学生のつたない英語をも傾聴し、想像力を駆使し理解してくれました。レ大では、本学学生は、午前、座学で買い物や博物館見学時に必要な英会話を学びました。そして、午後は実際の買い物や見学をしました。そこで、理論と実践がうまく融合されれば、英会話力は向上します。

 両国とも公用語の一つは、英語です。日本人学生の中で、英会話力が同じなら、現地の方といち早くコミュニケーションがとれるのは、一歩踏み出す勇気と笑顔を持っている者です。笑顔は、異文化への扉を開く鍵です。

 兼高かおるさんは「世界を知る、自国を知る、それが真の国際化」と話していました。これからの若者は、日本を飛び出し地球を俯瞰(ふかん)すべきです。日本の良さや弱点を把握し、地球人として、笑顔で堂々と世界の人々と渡り合っていってほしいと思います。



群馬医療福祉大教授 時田詠子 高崎市上豊岡町

 【略歴】小学校教諭・教頭、県教委指導主事を務めた後、群馬大、早稲田大の両大学院で教育学を専攻。2016年から現職。理論と実践を融合した小学校教員養成に携わる。
 
2019/09/30掲載

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