歯科医師になった理由 熱い思いが道切り開く
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 私は、新治村(現みなかみ町)の歯科医院の3代目として生まれ、歯科医師になることが必然であるような環境で育ちましたが、私は歯科医師ではなく医師になりたいと思っていました。そんな時に、当時新治村議会議長を務めていた初代みなかみ町長の鈴木和雄氏が家に訪ねてきたことがありました。

 挨拶にいった私に掛けた言葉は、「かっちゃん、歯医者さんになってね! 歯医者さんにならないと無歯科医村になっちゃうから頼むね!」でした。この言葉で歯科医師になることを決心しました。

 その時から、どんな歯科医師がベストなのかを考えてきました。地方の過疎地域と呼ばれる山間部では、都市部でやっていくより難しいことが多々あります。都市部への人口集中が進むに当たり、国の政策も大都市に傾いていくことが必至です。

 そんな中で「田舎だから仕方ない」と言う言葉を患者さんから聞かないようになることだと思います。それには、歯科医師の立場からだけでなく住民の一人として地域を動かす社会の歯車の一つとして活動していくことが大切だと考えています。

 私たちが関わる医療の分野では人的資源も含めた社会的資源が不足しています。それを補うためには、さまざまな職種・立場の人たちが連携をして対応していくことが必要です。そして、その多職種での連携をうまく図るには、お互いの職種を理解しリスペクトし合える関係を築くことが重要です。

 そのためには、私たち歯科医師も一方的に情報を配信するだけでなく実際に現場に出て自分の言葉で、しっかりと説明し、リスペクトしてもらえるようにならなければいけないと思っています。

 このことは私が関わっているスポーツの世界でも同様で、選手の強化・育成から大会の運営に至るまでさまざまな職種の人たちが携わっています。

 医療・介護の地域での連携やスポーツの世界で歯科は後発の職種で、これまでなくても回ってきました。しかし、より良いサービスやサポートには歯科が必要だと言ってもらうには、現場に出て、そこで一緒に汗を流し、歯科医師として何ができるかを知ってもらうことだと思います。

 「常に北を指して、熱い思いを持って進めば道は開ける」。壁にぶつかりへこんでいた時、ある方が話していたこの言葉にブレずに生きていくことの大切さに気付かされ、勇気をもらいました。

 田舎だからでなく、田舎だからこそ個の人間力を高めさまざまな人たちが連携していく必要があると考えています。少しでもこの地で必要とされる歯車になれるように、私も田舎の歯科医師としてブレることなく、熱い思いを持って次の世代へつないでいきたいと思います。



歯科医師 片野勝司 みなかみ町湯宿温泉

 【略歴】スポーツデンティスト。片野歯科医院長。日本レスリング協会スポーツ医科学委員会。全日本スキー連盟情報医科学部。県ラグビー協会。東京歯科大卒。
 
2019/10/05掲載

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