「緑の防潮堤」の植樹 笑顔をつなぎ命守る森
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 津波からいのちを守る森、緑の防潮堤が日本の太平洋沿岸に広がりを見せています。その一つが、仙台空港の近く約10キロにわたる宮城県岩沼市の「千年希望の丘」です。「千年先まで伝えたい」との願いが込められています。

 元首相の細川護熙氏が理事長を務める「鎮守の森のプロジェクト」が緑の防潮堤づくりを進めています。緑の防潮堤として、これまでに延べ5万9000人の手で東北や伊勢、土佐の沿岸に植えられた苗木は約52万本に上ります。

 細川氏は「かわいい子どもたちの笑顔をいつまでもつなぎとめていくためにも、いのちを守る森をつくりたい」と話されます。

 2011年3月11日、私たちは東日本大震災を経験しました。細川氏はそれから1年間、自分に何ができるのかと考えていたそうです。12年7月、世界的な植物生態学者の宮脇昭先生と「鎮守の森のプロジェクト」の前身となる財団を立ち上げました。

 財団の目的は、当時行き場を失っていたがれきを生かして緑の防潮堤をつくることです。人々の歴史が刻まれたがれきと、その思いを土と混ぜて避難丘をつくる取り組みも始めました。行政の理解と協力がないと進まないので、2人は霞が関や永田町を駆け回りました。全国から支援金も集まったそうです。

 私は14年にプロジェクトを知り、じっとしてはいられなくなり、被災各地に入りました。震災から3年、ほとんど復興は進んでおらず、つらかったです。私もできることをしたいと思い、植樹に参加しました。その後、岩沼市、福島県南相馬市、同県相馬市、岩手県山田町の植樹に毎年参加しています。

 今年は、津波に耐え残った同県大槌町の天照御祖神社の常緑広葉樹で囲まれた「鎮守の森」と5年前に私が参加した植樹地を見て参りました。今では4メートルを超す木もあり、健やかに森を育んでいます。

 子どもたちも一緒にどんぐりを拾い、苗木に育てます。大地にしっかり手を触れ、わらを敷いて縄を張り、十数種類の苗木を植樹する活動は、楽しくてとても気持ちのいいものです。全国から集まった参加者は爽やかな笑顔になります。

 細川氏は「植樹は何百万本、何千万本植えたから終わりと言う話ではありません。手弁当で誰もが心から楽しそうに立ち働き、汗をぬぐうのは、日本人一人一人の“熱情”です。物理的な量では、決して測れない、いわば没量(もつりょう)ということです。“鎮守の森”という大きな価値を社会と共有し、後世に残したい」とも話されています。

 私たちの住む群馬県には、自然を守りたいと、人の手によってよみがえらせた森、サンデンフォレストがあります。森の中の子どもたちの笑顔は、おいしい学校給食を食べている笑顔につながります。



羽鳥こども医院薬剤師 羽鳥裕子 伊勢崎市南千木町

 【略歴】伊勢崎市「農&食」戦略会議アドバイザー、上州アグリ100年ブランド協議会市民サポーター代表、伊勢崎市農業委員を務める。北里大薬学部卒。

2019/10/08掲載

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