道の駅の謎 経営状況の情報公開を
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 道の駅を利用した経験はあるだろうか。おそらく、「ない」と答える人はわずかであろう。道の駅は車で各地を周遊する際、必ず立ち寄る施設の一つと言っても過言ではない。しかし、その実態は謎に包まれた部分が多い。

 まず道の駅とは何か。それは道路利用者に快適な休憩と質の高いサービスを提供するために整備される施設として定義される。国道沿いにあることが多いため、国道でなければ設置できないと誤解されがちであるが、県道や国道の道路種別に関係なく設置することができる。

 設置にあたっては、国土交通省への登録が必要で、登録は通常市町村によって行われる。群馬県では32件の道の駅が登録されており、ドライバーの休憩所や交通情報の提供に加え、地域のにぎわいの場の形成や災害時の防災拠点などの役割が期待されている。

 道の駅はどのような経営状況に置かれているのであろうか。これまで道の駅の多くは指定管理者制度を通し、所有権を市町村に残したまま、行政と民間が共同で出資する第三セクターに運営を委託する形で運営されてきた。そして、その経営状態は各市町村の「第三セクター管理状況調書」を通して把握することができ、ある程度の経営の透明性が確保されていた。

 しかし、2011年のPFI法改正に伴い、指定管理者の適用範囲が従来の第三セクターから民間企業、NPO、任意団体にまで拡大されたことにより、財務状況を把握することは困難になった。

 本県でも多くの道の駅が民間企業や任意団体等に委託されており、各駅の経営動向を把握することは難しい。道の駅ららん藤岡を運営する株式会社藤岡クロスパーク(第三セクターによる運営)に対し、藤岡市が6200万円の出資を行い、資産から負債を差し引いた純資産額は2億2600万円であることが17年度の市の財務諸表から読み取れるのみで、それ以外の駅の経営状況は知ることができない。

 なお、前橋市は国道17号(上武道路)沿いに新設される道の駅(指定管理者制度を活用したヤマト・OCOGによる運営)の整備について資金計画をHP上で公表しているが、こうしたケースはごくまれである。

 総務省は19年3月、北海道管内を対象に「道の駅の管理・運営等に関する調査」を実施し、調査対象13駅のうち市町村から交付される管理運営費用を除くと黒字になるのはわずか1駅であることを発表した。これは本県においても同様で、多くの駅が市町村による支援なしには成り立っていないものと推測される。

 問題は赤字経営にあるのではない。情報を公開せず、ベールに隠されたまま行政からの支援を前提とした経営が続くことが問題なのである。早急な情報公開を願うばかりである。



高崎経済大地域政策学部准教授 小熊仁 さいたま市浦和区

 【略歴】運輸調査局副主任研究員や金沢大助教を経て、2017年4月から現職。福島県会津若松市出身。中央大卒。同大大学院経済学研究科博士課程修了。

2019/10/09掲載

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