やま・さと応縁隊 地域と共に生き、成長
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 群馬の最北端みなかみ町藤原に毎週学生たちが通っています。共愛COCOという共愛学園前橋国際大の学生プロジェクトです。彼らは群馬県「やま・さと応縁隊」に任命されています。

 武尊山とダム湖に囲まれた二十数戸の藤原地区平出集落を7人の学生と共に初めて訪問したのは、2015年7月でした。快く受け入れていただいた林明男さん。湖底に沈んだ集落や渡し船、物々交換、ランプでの生活、雪に閉ざされた村、子熊と遊んだ思い出を何時間も話してくれました。学生たちは、方言にも少しずつなじんで、スマホやテレビや電気さえも60年前にはなかった集落の生活を知ることになります。

 「平出で何をすれば地域活性化になるのだろうか」と学生たちは悩みます。集落の住民は「よそ者」をあまり好みません。代々引き継いできた伝統や絆を乱されることを嫌います。そこで学生たちがとった行動は、村になじむことでした。

 何度も訪問して、ゆっくりと知り合いになり、玄関先から居間にあがり、世間話をして顔を覚えてもらう、村の行事に参加する、清掃や畑作業を手伝う…。こういったところから受け入れていただきました。集落に多い高齢者にとって学生はちょうど孫の世代になります。学生たちは「地域の孫になる」というアプローチ方法を発見しました。

 地域へのこのスタンスを保ちつつ、集落行事や雪掘りの支援、十日夜(とおかんや)の子どもたちのみまもり、戸別訪問と耕作、地域保全を手伝う週末みまもり隊、みなかみユネスコエコパークの学習、関係人口創出にむけたツアー、「平出の価値発見とアーカイブ」などのテーマで活動して、共愛COCOのメンバーは集落の持続可能性にチャレンジしています。

 これは地域おこしの活動であると同時に、地域のみなさんに学生を育てていただく社会連携教育になっていると考えています。

 県農村整備課の委託事業である「やま・さと応縁隊」には高崎経済大、関東学園大、県立農林大学校の学生チームも参加していて、片品村、神流町、渋川市小野上地区、沼田市利根町の各地域で活動しています。参加した学生の中から、みなかみ町でインターンシップをしたり、就職をする若者がすでに出現しています。地域を支える貴重な人財になると信じます。

 この9月でNHKの朝ドラ「なつぞら」が終了しました。最終回で印象に残った泰樹じいさんの言葉があります。「一番大切なことは、働くことでも稼ぐことでもない。牛と生きることじゃ」

 働くことや稼ぐことは生きるための手段です。群馬の中山間地で活動をした若者たちが、群馬の地域と共に生きて、活躍することを心から願っています。



共愛学園前橋国際大教授 奥山龍一 東京都中野区

 【略歴】1978~2013年に早稲田大職員を務めた後、14年10月から現職。サンデン環境みらい財団理事、牛久保・天田育英財団理事。東京都出身。早稲田大卒。

2019/10/16掲載

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