失敗する権利 高み見つめ未来へ進め
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 先日、勤務する大学の近くにある小学校の校長先生とお会いした際、ご自身が少年野球の監督を引き受けた時のお話を伺いました。「関わる大人たちはプレー中の子どもの失敗を叱責(しっせき)してはいけない。『子どもたちに失敗する権利を与えよう』と決め、それだけは徹底してもらった」―といった内容でした。

 私は3月、この欄でかもしかスポーツクラブのスキー教室を取り上げました。「スポーツには失敗を経験できる良さ」があると書かせていただいていたので、同じ価値観を共有できる人に出会い、うれしくなりました。

 そんな折、群馬陸上競技協会の強化委員長から依頼があり、県代表ハードル選手の指導を手伝うことになりました。

 国体は大学3年の時に群馬代表で出場して以来、縁がありませんでしたが、こんな形で再度関わることになるとは夢にも思いませんでした。

 その頃から国体へ向けての合宿は母校の顧問を離れ、その種目の指導を得意とする先生に教えていただけるメリットがありました。

 今もそのシステムは継承されており、茨城国体に向け、9月に週末ごとに開催された合宿では、他校の生徒を熱心に指導する先生と、頑張る群馬代表の生徒の姿を見ることができました。私も指導しながら自分が指導を受けていた高校時代を思い出しました。

 私は高校から陸上を始めましたが、2年で群馬代表に選んでいただき、国体に出場しています。合宿では強豪、中之条高の顧問、本多友行先生が指導をしてくれました。

 迎えた本番では、予選から調子がよくタイム的にも優勝も視野に入るほどでしたが、決勝では、後半トップに立ったものの8台目のハードルを大きくぶつけ、6位に後退しフィニッシュしました。

 落ち込み、半ベソをかきながら戻って来た私に本多先生は「岩崎みたいに陸上を始めたばかりの選手はああいうことは起こりがちなんだ。決勝に送り出す前に伝え忘れた俺が悪い。悪かったなぁ」と言葉をかけてくださいました。

 失敗を後悔しているだけだった私の頭はその言葉で、冷静にレース反省をし、レース中に意識するポイントを具体的に考えるようになりました。

 この記事が掲載されるころには国体も終わっていると思います。9月から週末だけ関わった程度で大きな影響を与えられるとは到底思いませんし、本多先生の足元にも及びませんが、未来ある群馬代表の生徒たちの経験に微力でも貢献できればと思っています。

 昨年4月に川村学園女子大に陸上競技部を立ち上げた際、取材を受けました。そうした縁で、ここに執筆させていただきましたが、今回で最後になります。ありがとうございました。



川村学園女子大陸上部監督 岩崎利彦 高崎市九蔵町

 【略歴】陸上男子110メートル障害で日本人初の13秒台を記録。バルセロナ五輪出場。2018年春、川村学園女子大陸上部を本格始動させた。桐生南高―順天堂大―富士通。

2019/10/20掲載

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事