妻を介護する日々 若年認知症の理解願う
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 若年認知症サポートセンター(理事長・宮永和夫医師)が主宰する「全国若年認知症の家族と支援者・全国のつどい」が、2010年2月21日、日本青年会館で開催された。この結成式に全国23の家族会・支援者の会が結集した。前日から全国に向けたアピール文の協議を行った。アピール文の基調は以下の6点である。

 ①若年認知症の発症早期に生じる就労と医療・福祉の諸課題に対する行政の専門的な窓口を設置して個別の相談・支援の要請②若年認知症の本人が本人らしく生活・社会参加ができる環境の整備③介護する家族や子どもに対する経済的・心理的支援④福祉制度・社会保障・経済的支援の充実⑤若年 認知症を支援できる専門職やサポーターの充実⑥若年認知症について全国的に理解・啓発活動の推進―。

 このアピール文の取りまとめを私が担当することになった。一般席で、進行状況と会場の雰囲気を読みつつ、印刷物の裏面に即興でメモ書きした。私しか読めない拙い文字を壇上から読み上げた。次のような要旨だった。

 「私どもは、若くして認知症に冒された家族の介護を通じて文字通り苦悶(くもん)の日々を余儀なくされています。苦悶の日々であっても『人間の尊厳』という重い課題と向き合い、『本人と家族が安心して暮らせる社会の確立をめざす』ことを基調としています」

 「とりわけ、高齢期と若年期の認知症を巡る質の違いを明らかにする必要があります」

 「このアピールは、国・県・市町村に向かって発しているにとどまらず、広く全国民、報道機関に対して発信していることをご理解いただきたい」

 「結びに、このアピールを契機に、当事者である私ども家族会・支援者がそれぞれの地域で、次のステップとして主体的な活動を展開していくことを誓い合いたい」

 その後、「全国若年認知症家族会・支援者連絡協議会」と銘打って9年を経過した。若年認知症サポートセンターが軸となって、年に1度、各都府県県持ち回りでフォーラムを開催している。第2回のフォーラム(12年)は、群馬で開催した。

 ちなみに、本年は札幌が会場となり、来年2月は三重県四日市で開催する。加入団体も50団体となった。全国規模で若年認知症支援の輪が広がりつつある。若年認知症の課題が余りにも重いが故に支援者のネットワークが必要なのである。

 幸か不幸か、妻の介護を通じて知らない世界を知ることができた。書き連ねることも際限がない。介護のキーワードは試行錯誤と危機管理である。「怒ってはダメ。ダメと言ってはダメ。押しつけてはダメ」の3原則を体得した。若年認知症を社会が理解できることを願ってペンを置く。



若年認知症ぐんま家族会会長 大沢幸一 桐生市三吉町

 【略歴】2004年、55歳の妻がアルツハイマー病と診断される。06年に家族会設立、17年会長。著書に「妻が若年認知症になりました」。元桐生市議、県議。桐生工高卒。

2019/10/22掲載

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