働く女性の健康 理解しあい皆で支える
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 「女性の健康」をテーマに連載してきました。最終回は、働く女性の健康支援を行う上でのポイントをお伝えしつつ、全体を総括します。

 組織が女性従業員を支援する流れから考えましょう。大前提として、当事者をひとくくりにせず、「現在その人が、キャリアとライフの両面でどのプロセスにいて、将来どこに移行する可能性があるのか?」を十分に把握することが重要です。

 プロセスは「前(予防・準備)」「中(治療)」「後(復帰)」の3段階に大きく分かれます。まず予防では、平時からヘルス・リテラシーを啓発し、話しやすい職場の空気づくりを進めることが、健康問題を抱えた際に、助けを求めるスキルや経験値蓄積につながります。

 次に、健康問題の渦中はしっかり寄り添うことです。産業医面談に加え、休職中も社内情報を得られるコミュニケーションチャネルを提供するなど、多角的な寄り添い方、状態理解の方法を複数準備することが望ましいです。

 本人が一段落した後は、事務的な復帰時期の調整だけではなく、変化した本人と周囲の関係を紡ぎ直すサポートが必要です。健康を損なうという人生経験は、本人の内面を再構築するほどの変容を生じさせることがあるからです。

 また、このテーマに総じて言えることは、事案発生後の対応に並行し、環境整備も進めることが重要だ、ということです。具体的には①啓発施策を男性や役員にも行う②定期的に社内アンケートで潜在課題を掘り起こす③急な通院にもチームでフォローできる体制を構築する―など構造的、包括的に「面」で実行することです。

 私が各社の支援をさせていただく中、上記の一連のプロセスを自社に適した形で運用できている会社は、現場から声が上がりやすくなり、経験値やデータが蓄積し、結果として組織全体に「正の循環」が生まれているようです。

 この連載の最後にお伝えしたいことは、当事者と組織の支援者がお互いに正しくわかり合うことが何より大切である、ということです。

 いかなるライフステージで健康問題を抱えても、なおイキイキと働き続けられる組織をつくるためには、まず第一に、本質的な当事者理解が全ての出発点です。

 その当事者経験をエネルギーに起業した者として、私の仕事には、健康問題に今現在直面している女性、そしてこれから直面する女性を、会社が、社会全体が支える、その土壌をつくるという使命があると思います。

 最終的には、ライフサカスという社名に込めた、「問題を抱えた人に、その人が笑えるまで、人生が咲いていく様子を見届けたい」という思いを全うすべく、これからも邁進(まいしん)してまいります。



ライフサカス社長 西部沙緒里 東京都荒川区

 【略歴】博報堂でマーケティングなどを経験。群馬イノベーションアワード2015ファイナリスト。16年に妊活や女性の健康を支援するライフサカスを起業。前橋市出身。

2019/11/07掲載

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