子ども食堂共同農園 百年続く笑顔のために
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 2017年9月に板垣與一記念館の付属「カフェ南ケ丘」を使い「ジジババ子ども食堂」を開店しました。毎月2回、最終土・日にランチを平均30食と比較的小規模です。近所の農家や家庭菜園の支援を得て米・野菜・菓子などの無償提供をいただきながら「みんなで子育て」を合言葉に、多くの人のボランティア精神に支えられた活気ある食堂として2年が過ぎました。

 運営も軌道にのり、安定した日々が過ぎていった昨年のある日のことです。「野菜を自分たちで作れないか」「野菜づくりの畑から、子どもたちにとってたくさんの大事なことが体験的に学べるのではないか」。そんな思いを抱きました。

 「子どもたちに腹いっぱい食べさせてくれ」と、いつも米や野菜を届けてくださる「プロの百姓(85歳)」が口癖のNさんに相談したところ、二つ返事で「それはいい。畑は俺が探してやる」と始まったのが、「安中子ども食堂共同農園」(10アール)でした。

 18年6月から土づくりの準備が始まり、9月には白菜100本、ブロッコリー50本、ロマネスコ5本、玉ねぎ2千本の苗を定植しました。子ども食堂でランチを食べた後、それぞれ思い思いに農園に集まり、にぎやかな「農育」の試みが始まりました。

 昨年の日照りには、水やりに失敗して何本もの野菜苗を枯らしてしまいましたが、12月に初めて白菜を収穫することができました。顔よりも大きくてズシリと重い白菜を抱えて離さない子どもの笑顔が、農園中に広がりました。

 こうした共同農園の活動が、その後1年余りで安中市に三つ目の子ども食堂ができ、8月に四つ目の開店準備が始まった原動力になった気がします。四つ目は11月3日に開店初日を迎えました。

 共同農園での多彩な野菜の自給は、子ども食堂の食卓をこれまで以上に豊かで活気ある「食育」の場にしてくれています。現在、市内四つの子ども食堂が連絡協議会を作り、共同農園の本格的な運営に乗り出しました。基本理念は「大人の責任で、子どもたちの未来を創る」です。子ども食堂のための「野菜栽培100人プロジェクト」と「上総掘り井戸100人プロジェクト」を立ち上げました。すでにそれぞれに全国から200人を超える賛同者署名が集まりました。

 日本の働き方改革、教育改革、人生設計の在り方を決める土台に「人生百年時代」を据えようとの政府の思惑を感じさせる動きがあります。「人生百年時代」を迎える可能性を持てる私たちは、それどころではない多くの人たちのために地球規模で何ができるかを考え、同時に「人生百年時代」プランの基本枠組みを子どもたちの未来の創造とするならば、政府の思惑もまんざらではありませんし、大いに賛同したいところです。



板垣与一記念館館長 宇佐見義尚 安中市松井田町人見

 【略歴】知的障害者施設「清涼園」職員、亜細亜大経済学部教員を経て現職。東京都武蔵野市社会教育委員の会議議長。ジジババ子ども食堂主宰。高崎経済大卒。

2019/11/8掲載

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