食の安全の理解 若い世代へ発信強化を
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 群馬県の「2018年度食品の安全等に関する県民意識調査」によれば、18~29歳の若い世代の食の安全に対する関心は低く、「大変関心がある」「ある程度関心がある」の両方で87%となりました。この数字は高く見えますが、他のすべての年齢層では90%を超えており、最も高かった年齢層は60~69歳の98%、2番目に高かった年齢層は30~39歳の96%で、これらに比べるとかなり低い値(最下位)ということになります。

 この結果を県は危惧しており、何らかの対策が必要だと考えています。年齢を重ねるにつれて食の安全に対する関心が高まるのは当然ですが、若い時に食品安全について正しい知識を習得し、科学的に正しい情報と誤った情報とを判別できるようになることは重要です。さらには、それらの情報を若い世代自らが発信してくれるようになれば理想的です。

 私の研究室では、県主催の「産学官連携による食の安全理解促進事業」に参加しています。大学生を対象に、食品製造の現場見学、行政検査機関での体験学習および意見交換を通し、正しい食品情報の選択、健全な食生活の維持・増進ができる人づくりを目指す事業で、毎年大学の夏季休暇期間中に開催されます。

 今年9月は県内の有名菓子製造会社の工場と県食品安全検査センターを訪問しました。工場では食品安全対策の取り組みについて説明を受けた後、製造現場を見学しました。食品安全検査センターでは、業務概要の説明とセンターの見学後、若い世代に対する食中毒の情報発信というテーマのグループワークで学生同士の活発なディスカッションも行われました。

 どうすれば、若い世代に対し食の安全情報を効果的に発信することができるのでしょうか? 若い世代が多く集まる場所である大学で、行政から食の安全に関する情報を発信することは最も効果的な方法のひとつだと思います。なかでも、食品衛生や食品安全に関する研究室や講義のある大学の学生は、これらの分野に対する素養と興味がしっかりとあるはずです。

 情報紙「ぐんま食の安全情報」の内容を行政から直接発信するのはどうでしょう。教員との連携が必要ですが、出前講座として講義冒頭で、「食中毒の発生しやすい季節です」「肉はしっかり焼いて食べましょう」と呼びかけます(同誌156号)。

 情報発信をしてくれる学生とも連携し、その概要をインスタグラム、フェイスブックやツイッターなどのSNSで発信してもらいます。併せて、肉につきやすい食中毒菌やバーベキューでの食中毒予防のポイントについても発信することで、若い世代のみならず幅広い世代に興味が持たれやすく、食の安全理解に大いに役立つでしょう。



東洋大食環境科学部教授 佐藤順 埼玉県新座市

 【略歴】食品会社で微生物検査や管理、品質保証などの業務に長らく携わる。2013年から現職。県食品安全県民会議委員。宮城県出身。東北大農学部卒。

2019/11/13掲載

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事