BDKと考えたい 持続可能な部活動へ
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 学校の部活動で今何が起きているか。

 スポーツ庁と文化庁から、それぞれ運動部と文化部の部活動に関する総合的なガイドラインが出された。都道府県教委も同様のものを策定し、各市町村教委、各学校でも策定することになっている。

 内容で注目されているのが休養日と活動時間だ。休養日は週あたり2日(平日の1日、土日どちらか1日)以上で、活動時間は平日2時間、休日3時間となっている。

 部活動大好き教員(通称BDK、筆者が最初に使い広まっている)にしてみれば、冗談じゃないと思うのであろう。そこで、一部の方々ではあるが、何を始めたか。

 ガイドライン通りに活動はする。その上でその後の時間帯に「これは部活動ではありません」と宣言して活動を継続する。場所は学校であることもあるが、別の場所を確保する場合もある。保護者が施設の予約のために抽選に参加する場合もあると聞く。活動の際、指導をするのは同じ先生だ。

 涙ぐましい努力である。部活動のためならという気持ちが伝わってくる。

 ただし、けがや事故が起こった時に誰が責任をとるのだろうか? 社会教育団体として登録している場合は代表者が責任を負う。そうでない任意団体の場合は責任の所在はうやむやである。このような曖昧な活動を許容してよいのだろうか。

 もう一つ。ガイドラインによると、大会やコンクール等の前は休養日や活動時間は例外とすることができる。そこで、自分たちで勝手に大会を作って、頻繁に大会をする。そして常に大会前だからたくさん活動しても問題はないでしょうと言い張る。いやはやBDKの知恵の絞り方は半端がない。このような場合、本来は代替の休養日を確保しないといけないのであるが、無視するのだろう。

 これらが部活動の持続可能な姿だとは思えない。

 拙著で私は「部活動は宗教だ」と書いた。愛して信じて疑わない価値である。その自分の大切なものに規制が加えられると宗教弾圧だと感じ、激しい拒否反応を示すのであろう。その行き着く先が、かなり法的にも問題のある活動形態である。

 こうした事態は看過できない。生徒に法令順守を教える立場の教員が自ら逸脱した行為を行っているからである。また部活動のガイドラインは生徒の健康・安全や、バランスの良い学校生活を第一に考え策定されたことを忘れてはならない。

 活動の量より質への転換。活動時間の長さや、大会・コンクールの結果に価値を置くのではない、違う部活動の価値を皆さんと一緒に考え、創っていきたい。

 今後の記事では、そこに踏み込んでいく。



学習院大文学部教授、日本部活動学会会長 長沼豊 東京都大田区

 【略歴】学習院中等科教諭、学習院大准教授などを経て同大教授。2017年に日本部活動学会を設立し、会長に就任。東京都出身。大阪大大学院博士課程修了。

2019/11/23掲載

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