支援が届くために 声をあげやすい社会へ
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 子どもの貧困や不登校といった社会課題がニュースに取り上げられることも増えてきました。現在子どもの貧困率は13.9%であり、7人に1人が貧困状態にあります。不登校数は年々少子化が進む中、過去最高の16万4528人となっています。

 2015年に生活困窮者自立支援法、16年に教育機会確保法が施行され、群馬県内にも無料学習支援や居場所の運営を実施する団体も増えてきました。

 一方で子どもの貧困や不登校に対して、「親が本気出して働けばいいのでは」「親が子どもに甘いのでは」といったような“自己責任”に通ずる考えをお持ちの方はまだまだ少なくないのではないでしょうか。

 実はこの自己責任という考えがあることによって、当事者たちに支援を届けることができていない実態があります。なぜなら当事者たちは貧困や不登校という“その状況”を隠してしまうことがあるからです。

 世間体という言葉があります。それは社会から見た自分(もしくは家族)の見られ方のことです。人は自分が他者と違うことを嫌います。なぜでしょうか?

 それは他者と違うことが「自分は劣っているのではないか」という考えにつながってしまうからです。その結果起こること。それは経済的に厳しい家庭であれば厳しいことを隠すために、子どもには他の子どもと変わりないモノを与えようとします。不登校の子どもを抱える家庭であれば、その事実を隠すために子どもを日中外出させないようにします。もちろんこの考え方は各家庭にいる大人だけではありません。子どもも一緒です。

 そしてさらに当事者は貧困や不登校を誰かのせいにはしません。自分のせいにします。それは前述した自己責任という考えがあるからです。そのため今ある状況を自身のせいだと恥じ、その状況を隠してしまいます。

 その結果、当事者は今ある状況を変えることができません。せっかく社会に課題感が広まり、制度も整備されたとしても、その支援に手を伸ばすことが難しいのです。

 当事者たちが状況を隠さず支援に手を伸ばせる、「助けて」と声をあげやすい社会を作るためにはどうすればいいのでしょうか。一人一人が課題を理解し、寛容さを持つことです。そうすればきっと当事者たちは声をあげられるはず。

 法律も外的環境も整備されつつあります。しかしそれだけでは不十分です。社会の雰囲気が醸成されなければ、せっかく社会で作った多くの仕組みを必要としている当事者に届きません。まずは一人でも多くの人が課題に理解を持つこと。それが寛容な社会を作る重要な一歩であると僕は信じています。



NPO法人「ターサ・エデュケーション」代表理事 市村均光 前橋市二之宮町

 【略歴】市役所職員として働く傍ら、社会課題の解決に向け、2015年にNPO法人を設立したパラレルワーカー。前橋高―山梨大教育人間科学部(現教育学部)卒。

2019/12/04掲載

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