昆虫は好きですか 身近な生き物に興味を
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 「昆虫」や「虫」と聞くと、子どもに人気のあるカブトムシやクワガタムシをはじめ、チョウやトンボ、バッタなどを思い浮かべる方が多いと思います。また、ゴキブリやハエ・カのように害虫として嫌な生き物というイメージを持つ方もいるでしょう。

 それでは「昆虫の定義とは?」と尋ねると正確に答えられる方はどれくらいいるでしょう。ダンゴムシやクモ、ムカデなども昆虫と思っている方も多いのではないでしょうか。

 昆虫の定義を簡単に説明すると、体が頭部(あたま)、胸部(むね)、腹部(はら)の三つの部位に分かれ、胸部に3対6本の脚(前脚、中脚、後脚)と2対4枚の翅(はね)(前翅、後翅)を持つ(翅に関しては例外もあります)動物群となります。これは小学校3年生の理科で習う昆虫の体のつくりの内容です。

 ホタルのように幻想的な光を放ち、人に対して害を及ぼさないような種類や、カイコのように人類が長い年月をかけて改良し、産業動物(家畜)となった種に対しては好意的なイメージを持ち、これらが昆虫であるという認識すらない人もいます。同じ昆虫でありながら、一部の種に対しては好感を持ち、特に害のない種類でも「ムシ」と聞くと嫌悪感を抱きます。

 この好き嫌いの感情はどこから生まれたのでしょうか。おそらく身近に生息する昆虫や生き物に興味を抱かず、正確な知識を学ぶ機会がなく育ったことや、現在の理科教育の中で、動物学や植物学などの自然史科学に関する教育が十分に行われていないことに由来すると思われます。

 県立ぐんま昆虫の森は、年間を通じて多くの子どもが訪れます。休日には昆虫の好きな子どもたちが家族連れで来園することが多いのですが、学校利用などで来園する小学生の中には、昆虫が苦手という子も少なからずいます。昆虫が苦手な子どもたちは、虫というと「汚い」「気持ち悪い」というイメージを持っていることが多いようです。

 一方で幼児期の小さな子どもたちは、昆虫などの身近な生き物に興味を持ち、じっと観察して触ってみたいという衝動を起こします。この時に虫の嫌いな大人が「そんなものは汚い」とか「気持ち悪い」と言ってしまうと、子どもたちに「虫」=「汚い・気持ち悪い」というイメージを植え付けて、昆虫などの生物に対する知的好奇心を奪ってしまうことになります。

 昆虫や生物が嫌いでも生きていく上では問題がないという方もいるでしょう。しかし、現在、地球規模で起きている熱帯雨林の破壊や地球温暖化の問題などは、まず足元に棲(す)む生物たちを理解できなければ解決には至らないでしょう。ぜひ、大人の方も含めて多くの人に昆虫など身近な生き物たちに興味を持っていただきたいと思っています。



県立ぐんま昆虫の森昆虫専門員 金杉隆雄 前橋市上新田町

 【略歴】2005年の開園時から現職。県尾瀬保護専門委員、前橋市自然環境保全推進委員。専門は昆虫分類学と衛生昆虫学。藤岡市出身。帯広畜産大大学院修了。

2019/12/6掲載

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