気づいてほしい あなたも多様性の一部
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 私が自身の性別に違和感を持ったのは、ほんの4、5歳の頃だった。自分のことを「俺」と言ったときに、母から「女の子なのだから『俺』なんて使っちゃだめでしょ」と怒られたことは一番古い記憶として残っている。言動や服装など「女の子らしさ」を求められることへの違和感は年々増していった。

 「女の子」だった私は、いつしか「男性」として生きることを決意し、大学3年時に男性ホルモン注射の治療を始めた。今年28歳。声変わりし、ひげも生えそろった今の容姿から、女性として扱われることはなくなったが、性別適合手術はしていないので戸籍上は「女性」のままである。

 なので、一緒に暮らすパートナーの女性と結婚という選択ができない。そんな中でも、一緒に2匹の猫をめでながら暮らせることはささやかな幸せだ。

 2015年6月に群馬でLGBTなどのセクシュアルマイノリティーを支援する団体「ハレルワ」が発足し、月に1回、当事者の交流会を開催していることを知ったことが、LGBTの支援活動をするきっかけとなった。社会人2年目だった。

 当時は交流会の一参加者。会場である高崎の施設の小さな和室に着くと、20人近くが集まっていた。交流会の内容は悩みなどテーマを決めての座談会で、参加者は年代もセクシュアリティもさまざま。いろんな価値観や、いつかの自分のような悩みも聞いた。

 その頃、職場では私が「元女性」であることは、一部の社員のみが知る状態で、男性として過ごせていた。学生時代までの嫌な過去は、良い意味でも、悪い意味でも忘れかけていたが、交流会に何度か参加するうちに、自分の過去の話を伝えていきたいと考え、ハレルワの運営に加わるようになった。

 現在、私はハレルワの代表となり、トランスジェンダーであることをオープンにしている。交流会を主とした当事者の居場所づくりに加え、行政や教育機関からLGBTの人権講演などの依頼を受けている。本年度は前橋のオリオン通り商店街の空き家を活用してコミュニティースペースの開設準備など徐々に活動の幅は広がってきている。

 LGBTを取り巻く課題は教育・就労・医療・法律など多岐にわたるが、性的指向・性自認に限らず、社会にはジェンダー・障害の有無・国籍・宗教などさまざまなマイノリティー性、課題があり、広く「多様性」について考える必要がある。そのときに、ぜひあなた自身が「多様性」の中の一人であると思ってほしい。

 皆、何かしらのマイノリティー性や、社会での「生きにくさ」を実は抱えているのではないだろうか。それに気づけた時、マイノリティーや多様性といった言葉がもっと身近に感じられるようになると思う。



セクシュアルマイノリティー支援団体「ハレルワ」代表 間々田久渚 渋川市石原

 【略歴】2016年にハレルワ代表就任。戸籍と心の性が一致しないトランスジェンダーの当事者。座談会や講演を行う。太田市出身。太田女子高―群馬大教育学部卒。

2019/12/14掲載

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