人生会議 最期のこと話し合って
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 11月30日(いい看取(みと)りの日)を「人生会議の日」として、人生の最終段階における医療・ケアについて家族や大切な人と考える日とする、と厚生労働省が2018年の同日に発表しました。

 アドバンス・ケア・プランニング(ACP)をより親しみやすく、元気な時から気軽に家族や大切な人と話し合いの場を重ねてもらいたいという意向の下、一般公募で採用された愛称が人生会議です。終活やリビングウイルと並ぶ活動で、本人と家族が互いに納得して迎えられる看取り、看取られを目指しています。

 どんな人も必ず死を迎える時が来ます。緩やかに訪れることもあれば、急に訪れることも。いざというときのためにどんな最期を迎えたいのかを話し合うことが必要です。医療、介護の現場では重要なことです。

 でも、なんだかしっくりきません。家に持ち帰ったときに急に家族へ「死の直前について話そう」と言ったら縁起が悪い、と怒られますよね。

 今日までに千人以上の患者さんに出会いました。いろんな方の人生に寄り添ったり、最期に立ち会ったりした経験から自分の最期やどう生きたいのかをいつもを考えています。「自分でトイレに行けなくなったら嫌だな」「回復が望めない場合の経管栄養はしたくない。むせても口から食べたい」と希望も出てきます。これは私が看護師で見て経験しているからです。

 非医療者の場合、具体的にイメージがつかないでしょう。ましてや人生の終わりについて考えるのは怖いことのように感じますよね。私たちはまだ生きたいから死に恐怖を感じてしまうのです。

 試しにわが家で人生会議をしてみました。夫は非医療者です。まずは好きなこと、大切にしていることを出しました。そして好きなことができなくなった場合を想像しました。「食事が取れなくなったらつらい」「最期は家族と一緒がいい」「延命がどうとかは今は分からない」と着地しました。

 最期の過ごし方、迎え方をどうするかを本人が家族と考えて何度も何度も話し合うことを推奨するのがACPです。しかし人生会議を普及するなら、さまざまな年代の人が考えられるように工夫する必要があると考えています。

 いつかは訪れる死のことを考え、意識することから「自分の生き方」を見つめるきっかけにしてはどうでしょう。私自身は家族や友人の死、患者さんの死と向き合い、どんな最期を迎えたいのかを考えました。同時に、死ぬことを意識すると「自分らしく生きること」を考え、後悔しない生き方をしようと今を過ごしています。

 人生100年時代ですが、もしものときはいつ誰に訪れるのかは分かりません。だからこそ繰り返し話し合いましょう。



プロスノーボーダー、看護師 松井英子 沼田市戸鹿野町

 【略歴】2011年からスポンサーを獲得し、本格的にプロ活動を開始。16年冬に本県へ移住。大阪府出身。大阪市立桜宮高―国立大阪医療センター付属看護学校卒。

2019/12/16掲載

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