認知症状の発生 薬の副作用の可能性も
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 太田でケアマネジャー業を開設し6年が経過した。その当時東日本大震災が発生し、東北から太田に転居されてきたご老人を担当したのを鮮明に覚えている。

 ケアマネジャーは介護が必要になった時に個別ケースに合わせ生活の質が低下しないことを目的に、さまざまな介護サービスを検討しその方に合った介護計画を策定するのが仕事である。

 これから8年後、日本は4人に1人が75歳以上となる超高齢化社会を迎える。このままでは病院のベッドはパンク状態となり適切な医療が提供できない社会となる。国が示した打開策が入院期間の短縮と医療・介護を自宅で受けてもらうという構想だ。がんに罹患(りかん)された方や認知症患者などが不安定な生活環境で日常を送ることとなる。われわれケアマネジャーの役割がますます求められる。

 もしも、あなたのご両親が昨日まで当たり前にできていた何げない生活動作が突然できなくなったら、その場で立ち尽くし動揺するご両親になんと声をかけるであろうか。

 その時にぜひこの記事を思い出してもらいたい。認知症は大きく分けてアルツハイマー型認知症と脳血管性認知症に分類される。「認知症」の確定診断には専門医による精密検査を受け海馬の萎縮や脳神経系のダメージ程度など客観的データで診断が下る。

 しかし多くの人が見過ごしている認知症状のもう一つの隠れた発生メカニズムがある。「薬の副作用」だ。短大卒業後、介護現場で長らくご老人の介護に当たってきた。その中で、昨日まで歩けていた人が突然歩けなくなり、服の着る順番が分からなくなり、食欲低下を来す。日付も分からず排せつを失敗し大声まで発するなど人格が変容した状況を多く目の当たりにしてきた。多くの人は両親のこのような行動を見て「認知症になってしまったのか」と肩を落とされる。それも無理はない。医療介護従事者でも同様に誤認する方は少なくない。

 ただ肩を落とすのはちょっと待ってほしい。両親のお薬手帳を探してほしいのだ。そこには薬を調剤した薬局の電話番号が記載されてある。そこに一報を入れ目の前で起きている状況を刻々と伝えてほしい。主治医が薬の量や種類を再検討したことで認知症に類似した症状がピタッと消失したケースを多く見てきた。

 高齢になればなるほど毎日内服する薬は増えていく。医師も客観的データを根拠に処方箋を作成する。しかし飲んだ薬がどう体に作用するかは飲んでみないと分からない。薬の量は増え、無数ある薬と薬の相性、薬と体の相性だってある。ご老人は長年診てもらっている先生への絶大なる信頼から、副作用を副作用と気付かず老いと判断し、ただただ飲み続けてしまう。異変に気付けるのはそばで寄り添うわれわれ介護者なのだ。



介護事業「ホクセイ」社長 堀内元 太田市鳥山中町

 【略歴】介護の現場経験後、29歳で独立。にじいろ太田・こもれび太田を営む。介護福祉士、ケアマネジャー。北海道出身。早稲田大人間科学部健康福祉科学科在籍中。

2017/11/29掲載

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