新時代の部活動 支配や抑圧から脱却を
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 次のような部活動や集団はないだろうか。①年齢が上であることが集団内の絶対的な価値であり、年齢が上の者には服従する②年齢が下の者を奴隷のように扱う③必要以上に大きな声であいさつする④本来オプションの位置付けであるにもかかわらず最優先に参加することが求められる(欠席が許されないなど)⑤集団から脱しようとすると高度な圧力がかけられる⑥手拍子や掛け声等とともに特定の行動(大人の場合は飲酒)が強要される⑦性別により任務が固定した役割(特に女性を補助役のみとする)が存在する―。

 一部の部活動や団体、職場等に見られる、これらの行動や価値を、民主主義とシティズンシップの尊重、差別的支配や抑圧からの脱却等の観点から、理不尽で非常識なしきたりとみなし、批判・非難し一掃したい。私が掲げる部活動指針である。

 読者の過去および現在において、思い当たる部活動はないだろうか。

 これらの行動や価値が一般化し常識となっている集団や組織にいると、そのおかしさに気づかず、先輩から後輩へと代々受け継がれていく。さらには、これらの行動や価値こそが重要だと刷り込まれ、生徒・学生時代だけでなく、社会に出てからも職場等で適用している者もいる。部活動だけでなく社会でも一般化してはならないあしきしきたりである。

 これらの行動や価値の基礎は「軍隊の論理」で、それは次の基準に依拠するものである。①上官の命令には疑う余地を挟まず絶対服従する(命令通り撃たなかったら敵から撃たれて大損害を被るから)②連帯責任と集団の統率を最優先にする③集団を乱すことや不利益だと見なされた行為をすると見せしめの罰が与えられる―。

 すなわち、人権を抑圧し、差別的な思考を助長し、人々から思考力や判断力を奪う全体主義的な方策である。

 競技性のスポーツに取り組む運動部や、コンクールで入賞を狙う文化部は「戦う集団」「勝てる集団」を目指すから、常にこの軍隊の論理が入り込みやすいと心得て、気をつけておく必要がある。

 これに対して「ボトムアップ理論」を掲げ成功している指導者もいる。元高校教員の畑喜美夫氏だ。畑氏はサッカー部の顧問として、生徒に任せて育てる指導と時短練習で
、スポーツ推薦のない公立高校を全国一に導いた。練習メニューも作戦もレギュラーも生徒が話し合って決める。生徒の主体性と考える力が向上し強くなる。軍隊のような指導は全く不要である。

 昭和のスポ根と怒鳴る指導の部活動から脱却して、令和の時代の部活動スタイルを築こう。



学習院大文学部教授、日本部活動学会会長 長沼豊 東京都大田区

 【略歴】学習院中等科教諭、学習院大准教授などを経て同大教授。2017年に日本部活動学会を設立し、会長に就任。東京都出身。大阪大大学院博士課程修了。

2020/1/18掲載

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