人生の最終段階のケア 最高の最期のために
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 人生の最終段階のケアについて関心が高まっています。家族や医療関係者と、人生の最終段階のケアプロセスを事前にしっかり話し合うことを厚生労働省は推奨しています。「エンド・オブ・ライフ・ケア」という言葉は、その人の生が終わるまで、最善の生を生ききることができるよう支援することを意味しています。

 私たち看護職が支える「ライフ」には、命だけでなく、生活や人生も含まれています。病気に対応するだけではなく、その人が「どう生きるか」に目を向けなければなりません。支援は、患者さんと出会った時から始まります。入院した時の状態だけでなく、これまでの生き方や、何を大切にしてきたか、今何を大切にしているかなど、患者さんやご家族との語りを通して引き出していきます。

 最終段階のケアプロセスにどう臨むかということも、もちろん含まれています。慢性期医療は、必然的に「ライフ」の終盤に関わってくることが多くなります。そうであるのならば、患者さんやご家族にここで最期を迎えてよかったと思ってもらえるようなケアが大切であると考えます。

 私の働く内田病院(沼田市)には、「ハッピー・エンド・オブ・ライフ・ツリー、終わりよければすべてよしの樹」がロビーの壁の中央にあります。当院で過ごされた患者さんやご家族が、「最期にここでケアを受けられてよかった」と思えたら、ご本人の命日とイニシャルを刻印し、葉として樹に飾るものです。

 その人が生きていたという証しと、ハッピーエンドを迎えたことを表しています。一方で、私たちにとっては「最期まで、あなたの人生にきちんと向き合い支えます」という決意の樹でもあります。

 以前の私は、死は悲しいことだと思っていました。しかし、ご家族から「ここで亡くなってよかった」という言葉をいただくにつれて、私の気持ちに変化が生まれてきました。病院で過ごすのは人生の中のほんのひとときですが、その中には死という、その人やご家族にとって、とても大事な瞬間が含まれています。だからこそ、その時間を最高のものすることが大切だと考えます。

 人生のそのひとときを共に歩み、最期の時を共に過ごせることの貴重さや、ご家族とつながりを感じられることなど、慢性期の看護は充実したものなんだということを実感できるようになっていきました。自分たちの関わり方によって、死が決して悲しいだけのものでなく、充実したものに変えていける。慢性期の看護という仕事に、どんどん引き込まれていきました。

 看護という仕事のやりがい、看護師としての生きがいは、臨床の場でたくさん感じられます。人を大切に思う温かいこころで向き合っていきたいと思います。



内田病院看護師 小池京子 沼田市柳町

 【略歴】1996年から内田病院に勤務。子育てと病院勤務をしながら学校に通い、准看護師、看護師の資格を取得。2017年に認知症看護認定看護師となった。

2020/2/5掲載

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