神職の務め 稽古照今を胸に精進
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 令和最初のお正月を穏やかな暖かさで迎え、よき日々をお過ごしでしょうか。当宮も境内菅原神社の天神梅が紅白満開を終え、神明桜が人生の門出を祝うべく、芽吹く準備をしております。

 さて、社寺と地域が結びつき、どのように人々が豊かに暮らせるかを語る前に、神社とはどのような場所なのかを考えていきましょう。

 私は年に数回、社頭講話を行っていて、そこでも話していることですが、神社とは公共性はあれど公共施設ではなく、サービス性はあれどサービス業ではない、現在は宗教施設という位置づけになります。私の考え方では、宗教性はあれど宗教ではなく、日本の古き良き文化であると講話で言っています。

 神社には、宮司が代表として存在し、各神社のまわりに住む方々と共に成り立っています。それらの方々を氏子と言い、氏子の中から総代や宮司以外の責任役員が選出されます。責任役員の中に宮司も含まれ、神社財産の管理運営にあたります。総代は伝統の保持振興のため、宮司に協力するという役割で護持運営しています。

 総代は氏子の中から神道文化を支えていくことができ、かつ、まわりから徳望のあつい人物が選ばれます。大変誉れ高い名誉職ですので、そういった人物が広く育まれ、社寺を通じて、地域の活性化が成されればと思います。

 神社は神職や役員・総代・氏子の運営意向だけでなく、地域の性質やおまつりされている神様や由緒により、神社ごとに“色”が出てきます。氏子のための氏神神社であったり、氏子が存在しない、もしくは、信心深い参拝者の多い崇敬神社や観光地の観光神社などさまざまです。

 わが家系の奉仕する14の神社もそれぞれ特色がありますし、県内外の神社を研修や参拝で訪れても、やはり違いはあるため、勉強になります。社の大小や行われている神事もさまざまなことに加え、参拝順路が存在したり、参拝作法が違ったり…。多くの神様が各地に鎮座し、それと等しく特色があるのは、寛容の精神の成せる誇らしい文化だと思います。

 その神道文化の歴史の中で、幾つかの変革はありましたが、それでも変わらずにあるものが「感謝」と「祈り」です。それらを行うために祭があり、境内を神域とすべく、清浄につとめます。

 そこには文化の紡ぎ手として神職がおり、朝は箒(ほうき)、昼は笏(しゃく)、夜は筆を執り、志や悩みなどを持つ参拝者に、一点の曇りもなく心を整えて明日を迎えられるよう、祈願し神札御守を授与します。おまつりする神様に失礼のないよう、心の研鑽(けんさん)をし、稽古照今を胸に秘め、純白な精神を培うことが神社の在り方と思い、日々精進しています。

 稽古照今―これすなわち、古きを稽(かんが)え、今を照らす―。



前橋神明宮宮司 東野善典 高崎市西国分町

 【略歴】都内の大学を卒業後に12年間、役者を経験。県内で演技指導や演出、殺陣師もする。代々続く神職を継ぐため、6年前に帰郷。前橋、高崎の14社に奉仕する。

2020/2/8掲載

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