里親、別姓、同性… 家族だって多様でいい
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 あなたは「家族」と聞いたときに、どんな家族像を思い浮かべるだろうか。父・母・子ども・祖父・祖母…という従来の家族像も、今は珍しく感じるようになった。

 私の家族はというと、離れて暮らす両親と兄弟はもちろんだが、一番に浮かぶのは、学生時代から付き合って8年たつ女性のパートナーだ。私自身は、女の子として生まれ、現在は男性として生活するトランスジェンダーであり、戸籍の性は女性のまま。書類上、パートナーとは同性となるため結婚の選択ができない状況にある。長く生活を共にし、支え合ってきた。人に紹介するときは「彼女」よりも「パートナー」と呼ぶ方がしっくりくる。

 同性同士のカップルや、私のように戸籍の性を変えていないトランスジェンダーとのカップルに対し、「事実婚でいいのでは」という人もいる。しかし、法律で家族であることが守られない状況には、医療や保険、相続など「もしも」のときに不安が残る。家族として認められないことは、心理的ストレスであると同時に、制度的な不利益を被るということなのだ。

 同性カップルが結婚できる国・地域は現在、世界に28の国・地域。アジア圏では昨年、台湾が同性婚可能になった。日本では国として同性カップルの保証は何もない。

 そこで、自治体で同性カップルを家族として認めようと、2011年に東京都渋谷区から同性パートナーシップ制度が導入された。群馬県では大泉町が昨年1月にスタートした。当時、全国の自治体で10番目の導入だった。

 1年たった今、導入している自治体数は34となり、利用するカップルは700組を超えた。多くは市町村単位だが、都道府県単位では茨城県、そして先日、新たに大阪府も加わった。この制度により、同性パートナーと利用できる民間のサービスは増えつつあるが、結婚ほど法的効力はないのが実情だ。

 国内の動きとしては、同性婚訴訟が全国で進んでいたり、国会で質疑が行われたりしているが、国の回答は「現行憲法のもとでは、同性カップルに婚姻の成立を認めることは想定されていない」の一点張りだ。同性婚に限らず、選択的夫婦別姓についての国会の質疑で与党議員が発した「結婚しなければいい」というヤジも問題になった。

 国が言う家族の在り方というものは時代が止まってしまっているようだが、今の社会の実態に即して制度を改めていく政治であってほしい。

 家族像は従来の形から変わってきた。独身、シングル親、再婚、里親、外国人、別姓、そして同性カップル…既に多様な家族が実際に存在している。それぞれの幸せの形が尊重される社会になっていけば、より多くの人が幸せになれる。そんな社会を早く見たいと願う。



セクシュアルマイノリティー支援団体「ハレルワ」代表 間々田久渚 渋川市石原町

 【略歴】2016年にハレルワ代表就任。戸籍と心の性が一致しないトランスジェンダーの当事者。座談会や講演を行う。太田市出身。太田女子高―群馬大教育学部卒。

2020/02/14掲載

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